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Dove Plusでしまなみは走れるか!? ➀

2021年4月。世の中はいつ終わるとも知れぬコロナ禍の最中でしたが、かろうじて緊急事態宣言が発出される前、1人で黙々と走る自転車旅行ならば大丈夫だろうと、憧れの「しまなみ海道」に行って来ました。

しまなみ海道とは、四国は愛媛の今治から橋伝いに6つの島を渡り、広島県尾道に至るサイクリングロードのこと。海をまたいで続く道程はまさに「海の道」で、サイクリストの聖地とも言われます。

全長はおよそ80km。普通のロードバイクなら問題ない距離でも、果たして私のDove Plus(14inchタイヤ、変速機なし)で走破できるのか? この世にはググってもわからないことはまだまだあるのです(当時)。そんなときはYou、試しちゃいなヨ! ってことで、レッツラゴー!(昭和)

今回の旅程

1 東京から寝台特急サンライズ瀬戸で香川県高松市へ。
2 高松市から特急いしづちで愛媛県今治市へ(ここまで輪行)。
3 今治駅から自転車に乗り、大島ー伯方島ー大三島へ。(一泊)
4 翌朝、生口島ー因島ー向島に向かい、フェリーで尾道へ。(ゴール)

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寝台特急サンライズ瀬戸にのる!

新幹線や飛行機が利用しやすくなった現在、寝台特急での移動は需要が少なくなったそうで、サンライズ瀬戸は日本に残る数少ない寝台特急のひとつ。
けど、少なくなったらなったで供給が足りず、今回の旅でもっとも大変だった(神経をすり減らした)のは、このチケットを取ることでした。

サンライズ瀬戸。かっこいー!!

人生初の寝台特急。このサンライズ瀬戸に乗るのも今回の旅の楽しみでした。何事も初めての体験(輪行すること自体が初めてですが)はワクワクするものです。

サンライズ瀬戸には5種類の寝台があって、
A寝台「シングルデラックス」一番豪華!
B寝台「シングル」一番数が多い。2階建てで上の部屋、下の部屋がある。
B寝台「ソロ」シングルより狭い。数が少ない(シングルの1/4)。
B寝台「サンライズツイン」デラックスを2人用にした寝台。
B寝台「シングルツイン」シングルの天井をぶち抜いて2人用にした寝台。
のびのび座席」座敷席。顔部分に一応の仕切りがある。格安。
このうち「シングル」を取ることが出来ました。

ベッドの上に必要なものを圧縮したような設計。秘密基地みたいでかっこいい!

失敗だったのは、電車の出発時間に合わせて駅に着いたのですが、時間が遅すぎて(21時くらい)お弁当が買えなかったこと。お弁当屋さんは店じまいを始めているし、コンビニのお弁当・おにぎりも売り切れ。東京駅で美味しいお弁当買うんだー! と思っていたのに……。

かろうじてアンパンとチーカマを買うことができ、空腹で眠れないという状況は避けることが出来ました。またお酒も買うことが出来たので、アンパンをほおばりながら酒を飲んで、流れゆく景色を眺めながら就寝しました。さらば東京~旅立つ汽車は~♪

うどん県、まさかの素通り!?

朝7時半、香川県高松駅着。ここから特急いしづちに乗り換えて愛媛県今治駅に向かいます。せっかく香川(うどん県)を経由するのだから、朝からやってるうどん屋さんでつるっと一杯……とも思ったのですが、なにせ初めての輪行。何が起きるかわからないので、今回は素通りすることにしました。

と言うのも、高松から今治ってお隣の県なのですが、特急でも意外と(失礼)時間がかかるんですよね。約2時間。
特急はおよそ1時間間隔で出ているのですが、もしうどんを食べるなら美味しいうどん屋さんで食べたいし、それだと1時間で行って帰ってくるのは難しそうだし(たぶん並ぶので)、朝7時40分発の次の次だと、今治に着くのがほぼ12時になってしまいます。

今治駅から宿までがおよそ40km(ロードバイクなら1日で80km走破するのは余裕ですが、初めてだし、加減がわからないので中間地点で宿を取りました)。時速12km前後のDove Plusでも大丈夫かな~と思ったのですが、ここは慎重に判断しました。

サンライズ瀬戸(写真左)といしづち(写真右)

旅飯その1 鯛めしに悶絶!

9時半、今治駅到着。いよいよここから自転車旅の始まり……ですが、その前に腹ごしらえ。出発前に「これだ!」と目をつけていた今治駅の名物駅弁「鯛めし」をいただきます(売店のイートインコーナーを使わせてもらいました)。

これがまぁ、あーた。美味いのなんのってびっくりしました。本当にびっくりしました。ゆーたかてご飯の上に鯛のほぐし身がのってるだけやん。なんでこんなに美味しいの!? えー! 

これまで私のなかで「モスト・オブ・美味しい駅弁」は富山駅の「ぶりかまめし弁当」だったのですが、やばい。ためはる。美味しいものに順位付けなど意味はないと思いつつ、これが1位。ものすごく美味しい!

今治駅ではほかに食堂のうどんやおでんも美味しいと評判なのですが、鯛めし弁当、おすすめです。訪れた際はぜひ食べてみてください。

うますぎて「え?」ってなった

雨なんかにサイクリンガーは負けない!

ここからが旅の本番。いよいよ自転車に乗り換えて出発! ……なのですが、雨。
じつは予報で知ってたし、なんなら高松ですでに雨が降っていたのですが、「もしかしたら止むかも」という一縷の希望を打ち砕き、わりとしっかりとした雨。

けど、これしきの雨でサイクリンガーは負けない! こんなこともあろうかと、登山にも使っているモンベルのレインウェアを用意しておいたのですよ。
タクシーの運転手さんに「こんな天気で自転車かい?」と心配されつつ、大丈夫。私は元気です。気を取り直して、いざ出発!

雨よ、止んでもいいんだぜ?

ブルーラインに沿って進め!

今治駅から広島尾道に続くしまなみ海道。その道中にはブルーラインと呼ばれる青い線が道路にひかれています。ブルーラインを辿っていけば、ナビなどを使わずとも迷うことなくゴールできるという親切設計。ありがたい。

よろしく道しるべ!
ただし別ルートのブルーライン(罠)もあるので注意が必要。

今治駅を出発して20分くらい走ると、今治ルート(今治to尾道)最初の難関、来島海峡大橋の手前に来ます。
しまなみ海道がある島と島は、すべて「橋」でつながっているのですが、橋は基本、高い場所にあるので、まずはそこを登っていかなければなりません。そしてしまなみ海道中、もっとも大きい(きつい登り)と言わているのが来島海峡大橋なのです。

この信号からゆるりと坂が始まる

とはいいつつ、そこはサイクリングのメッカ、しまなみ海道。
自転車用に傾斜のゆるいスロープ状の道路が整備されていて、比較的楽に登ることが出来ました(個人の体力によります)。

蛇行する分、登る距離は長くなる
なんださっか、こんなさっか(昭和)
登頂~!
(雨で)なんも見えねえ……

来島海峡大橋、思っていたより簡単に登ることが出来ました。雨で眼鏡が曇ってしまい、一度道を間違えましたが、それでも下の信号から登頂まで15分くらい?
なんだ、いけるじゃん! 14inchでも、変速機なしでも行ける! Dove Plusでしまなみ海道、走れるじゃん!

止まぬ雨。第一の島、大島

とにかく雨。レインウェアは着ているものの、メガネにつく水滴とくもりが厄介で、帰ったらコンタクトレンズを買おうと心に誓いました。

景色を楽しむ余裕もなく、慎重にペダルをこぎながら第一の島、大島に上陸。道の駅「大島」で小休止します。レインウェアのサウナ効果もあって、走っているうちは体も温まるのですが、止まると寒い! 汗が冷える……。

ひとっこひとりいやしねぇ

雨はさておき、止まってると寒いので、早々に出発。さほどきつい坂もなく、体力的には問題ありません。

しかしなんですな。人がいない。ここまでの道中、誰も追い越してないし、誰にも追い越されていないし、なんなら誰ともすれ違っていない。まぁこの雨だし、しかも平日だし、自転車で走ろうなんて人はそうそういませんわな! HAHAHA!

記念撮影。ポンジュースはしまなみ海道の維持管理のスポンサーだそうです。感謝!

旅飯その2 伯方島の塩ラーメン

そういえば愛媛出身の同僚がいたなぁ。あいつ、今はどうしてるんだろう……などと考えつつ、大島を抜け、第二の島・伯方島へ。CM「は・か・た・の・しおっ!」で有名な「伯方の塩」の生産地です。

道の駅「マリンオアシスはかた」でお昼ごはん。いただくのは「塩ラーメン」。冷えた体にラーメンの温かさが染みる! 塩分も染みる! 生き返る~!!

やっぱ誰もいねぇ……
それでもお店を開けて待っていてくれるありがたさ! うまいぜー!
じゃこかつというのも食べた。うまい。

大三島の大山祇神社にお参りする

ラーメン食べて体が温かいうちに、出発。伯方島と大三島を結ぶ大三島橋上で時計を見たら、時刻は13時20分。今治駅を出発したのが10時だったので、3時間ちょっとでここまで来てしまったことになります。

雨だし、寒いし、ろくに観光もしなかったからですが、だいぶ早い。これなら高松でうどん食っとけば! とも思いましたが、旅の順調さに感謝しようと気持ちを切り替え(雨だけど)、大三島へ上陸。

ただ、このまま進むとチェックイン17時の宿に14時にはついてしまいます。そこでしまなみ海道の正規ルートを外れて、島の外周ルートに進路変更。時間があったら行きたいと思っていた大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)に、お参りにいくことにしました。

大山祇神社は全国に広く分布する「山祇神社」と「三島神社」の総本山。歴史は古く、平安時代初期に編纂された「続日本紀」ではすでに、位の高い神社として名前が登場するそうです。

雨の降る境内に人はおらず、静かで荘厳な雰囲気でした
樹齢2600年と言われる御神木。思わず手を合わせてしまう神々しさ

雨、止む!

神社では「〇〇してください」とお願いするより、「〇〇するといいなぁと思っています」と、やや控えめにお祈りするのがいいと聞いたことがあります(そもそも「お願い」をするものではないという話も)。

その謙虚な願いを聞き届けてくださったのでしょうか。なんと、雨止む! 雲間から陽の光も射しはじめ、ほわ~っと温かさを感じるまでになりました。

ご利益すげぇ!

そして私はこの旅ではじめて、心から「来てよかった!」と思ったのです。

陽の光ってあったけぇ!
見える~。景色が見えるよ~!(涙)
山々も美しい……

「サイクリンガーは雨なんかに負けない!」と強がっていたけど、やっぱり景色を楽しみたかったし、何より寒かった。けど今、眼前に広がる海と島々の景色は、まぎれもなく美しく、そして静かで、「これだ! 俺が求めていたのはこれなんだ!」と、感動を噛みしめました。

ご当地スーパーへGO!

私の旅の楽しみのひとつに、ご当地スーパーに行くというのがあります。その土地ならではのお惣菜はないか。どんな魚が並んでいるか。調味料(とくに味噌、醤油はご当地性が出ます)はどんなか。お酒は? など、眺めるだけでも楽しいですが、もちろん買って帰るのも楽しみです。

さすが瀬戸内! 魚が安い&新鮮!
この地域特有の「麦みそ」。少し重いですが、購入!
牛乳もご当地性が出ます
板状の天かす「からあげ」。食べてみたい!(粉々になるのは目に見えているので断念)

宿へ

16時。チェックインの受付時間前でしたが、荷物だけでも下ろせればと思って宿に行ってみることにしました。宿の方は「雨で大変だったでしょう。お風呂沸かしてありますから!」と、快く迎え入れてくださいました。ありがてぇ……。

濡れたものを干したあと、お風呂をいただき、服を着替えて(リュックの中身はビニール袋に入れていたので濡れてない)、ご飯の時間までお散歩。瀬戸内海の夕暮れ。あまりにも「染みる時間」で、写真撮るのも忘れて浸ってしまいました。

旅飯その3 すべてが美味かった宿の飯!

刺身。南蛮漬け。ウマー!
天ぷら。ウマー!
鯛のあら煮。ウマーウマー!
鯛と浅利の炊き込みご飯。ウマー!

ご飯食べて、ビール飲んで、MA・N・ZO・KU! 部屋に戻って布団にもぐったら、秒で寝てしまいました。1日目、これにて終了!

2日目に続く。

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