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理想のデザイン組織についてリモートで語っていただきました

こんにちは、サイボウズUX Cafeです。
サイボウズUX Cafeは定期的にデザインやリサーチに関連したイベントを開催しています。今回はCybozu主催で株式会社SmartHRさん、600株式会社さん、freee株式会社さんにお集まりいただき、「理想のデザイン組織」というテーマで語っていただきました。

まずは、弊社小林からUDトークについての説明です。サイボウズでは視覚や聴覚の障害をお持ちの方に対しても情報保証をするためUDトークというアプリを用いて、発表者の会話を自動で書き起こし、リアルタイムで字幕を提供しています。

画像:UDトーク画面

編集には4名の方が協力してくださいました!ご協力ありがとうございました!

慣れないオンラインでのイベントで最初に通信トラブルがありましたが視聴者の皆様には暖かく見守っていただき、無事30分遅れで開始することができました。みなさんありがとうございます。

LT1 柴田哲史(サイボウズ株式会社)

LT一人目の柴田さんからは現在のデザイン&リサーチチームのテーマと共にデザイン業界の黒歴史とサイボウズのデザイングループの歴史について話してもらいました。

理想のデザイン組織は?
「個性を伸ばせるサブチーム体制」
多様なスキルを持つ人が増えてきた。アクセシビリティ、多言語、リサーチなど多様なスキルがある中で自分の得意技を伸ばすためにサブチームとしてチームを分けることにしました。

デザイン業界の黒歴史
学生の頃にインターンとして、多くの大手日本家電メーカーを見てきた柴田さんが感じたことは、デザイナーは当時「下請け」であったということ。
しかし、その後、シアトルのMicrosoftの本社で働くことになった柴田さんが見たのはエンジニアやデザイナーがプランニングのフェイズに参加している姿であり、これは当時の日本にはなかった文化でした。

デザイングループの歴史
その後、柴田さんがサイボウズに入り、デザイナーが下請けで作業しているという事実を目の当たりにしました。ここで今までの経験をサイボウズに移植した結果、デザイナーがPMやPGとともにプランニングのフェイズに関わるようになりました。

サイボウズのデザイングループは日本のデザイン業界の変遷と一緒だというデザイン業界で長い間、活躍している柴田さんだからこそ語れる内容でした。

LT2 佐々木 勇貴(株式会社SmartHR)

LT2人目の佐々木さんはプロダクトマネージャーとプロダクトデザイナーを兼任されている方で、多様なスキルセットのデザイナーが集まることの重要性について語っていただきました。

理想のデザイン組織は?
「それぞれが異なったスキルで連携できる組織」

そして、この理想のデザイン組織を実現するために必要な条件として2つあげてくださいました。

・課題に対してそれぞれが補完しあえる異なるスキルセットを持っている
・デザインの考え方が一致したメンバーが集まっている

1つ目の条件は、SmartHRさんが大切にしている価値観である「100の問題を解くには100人のスペシャリストが必要」から生まれているそうです。多様な課題に向き合うためにデザイン組織も異なるスキルを持ったスペシャリスト集団であることが望ましい。とおっしゃっていました。

異なるスキルのデザイナーを集めたら組織がバラバラにならない?
しかし、そこで気になるのはそんなに異なるメンバーが集まればチームとして機能するのは大変じゃない?ということなのですが、そこで2つ目の条件が大切になってくるそうです。異なるスキルセットを持つチームがバラバラにならないよう佐々木さんが気をつけていることはデザインの共通言語を揃えるということです。例えば、デザインプロセスの可視化のワークショップを行ったりすることで共通言語を整えているようです。
SmartHRさんの社内ブログから詳細を見ることができますので是非みなさんもチェックしてみてください!

LT3 金子 剛(600株式会社)

600株式会社さんでは無人コンビニのデザインをしている会社です。デザイナーさんは金子さん1名しかおらず、組織全体で何かを作っていこうという目的別組織だそうです。今回は「共創」というテーマで発表してい頂きました。

金子さんの発表では過去から現在にかけてのモノづくりの歴史を「不確実性」という軸で話していました。

不確実性が低かった時代
ニーズが明確であった産業革命の時は作るものが明確であったため、工程に不確実性がないからこそ工程を細分化してエキスパート化することで大量生産ができるようになった。

不確実性が高くなった現代
コモディティ化が進んだ現在の社会では同じものを大量生産するだけでは価値は生まれないため、他の商品と差別化するための「意味的価値」を生み出す必要がある。
しかし、意味的価値には不確実性が高いので、これからはエキスパートの「共創」が必要だそうです。

「共創」に必要な多様性
意味的価値のあるものは異なる職能のエキスパートの掛け算によって生み出されます。そのためには多様なスキルを持っている個の人たちがただ集まるのではなく、共通の言語で話すことのできる組織作りが大切。

2人目の佐々木さんのお話でもあった、デザインの共通言語の話と共通する内容だったのではないでしょうか?ただ多様なスキルを集めるだけでなく集まったメンバーが最大の力を発揮するためには言語や土壌を揃えていく必要があるという話でした。

LT4 神戸 慎一(freee株式会社)

画像:神戸さんの発表資料

最後はUXチームのマネージャーをされている神戸さんです。デザインチームは調査・分析からUIデザイン、ユーザーテストと幅広く活動しているチームで現在は3チームで構成されているようです。

理想のデザイン組織は?
会社のミッション、コミットメントを実現する組織

チーム体制の変化
以前の体制でのデザインチームは、スピード重視の開発により、一人のデザイナーが複数の製品を担当していたそうです。しかし、製品による担当範囲の違いなど、組織のスケールしていくことの難しさから新しいチームの必要性が出てきたそうです。
そこで神戸さんはプロダクトで何をしたいか、ということを考え、会社のコミットメントである「マジ価値を届ける」という原点に帰り、各デザイナーの強みを活かすことのできる3チーム体制を作ることになったそうです。

そして引き続き、この3チーム体制で「マジ価値を届ける」ため以下の3つを引き続き行なっていくそうです。

・ユーザー理解を深める
・よりプロダクトをアクセシブルに
・デザイン品質の可視化

マジ価値をユーザーへ届けるには、ユーザーの行動を理解するのためのリサーチが必須になります。そしてそれを誰にでも届けるようにするにはプロダクトをアクセシブルにする必要があります。最後に本当に届いているのかを確認するための品質の可視化が必要だということでした。

質問タイム

最後にはtwitterで視聴者の皆様から頂いた質問に発表者が答えていく時間を設けました。「ユーザーテストをする際にどこで被験者を集めているのですか?」という質問に対してSmartHRさんはカスタマーサクセスのチームとの繋がりを利用して、よく使っているユーザーの方にお願いしているということでした。まさにチームを超える横断的な組織のあり方が体現されているなと思いました。

まとめ

今回は初オンラインイベントだったこともあり、至らない点が多くみなさんにご迷惑をおかけしたかもしれませんが、さらにイベント自体良くして行こうと思っています。具体的にはYoutubeのコメント機能を使用して視聴者間での交流を促したり、発表者間での雑談タイムを設けたりなど、さらにインタランクティブなセッションにしていきたいと思っていますののでこれからも参加してくださると嬉しいです!


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