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アジア杯決勝の敗戦を振り返る

どうも、FIFAでは、パリサンジェルマンもしくは、トットナムホットスパー、アトレチコマドリードのどれか使う石川(@cyanpon)です。遅ればせながら、サッカー男子日本代表のアジア杯を振り返りたいと思います。

8年ぶりのアジア王者に返り咲こうとした サッカー男子日本代表が、サッカー新興国のカタールに敗れました。3対1という完膚無きまでの敗戦に落胆の色を隠せませんが、未招集の選手含め コパ・アメリカへの期待は否応無しに膨らみます。

では 実際に、カタールとの決勝ではフィールド上で何が起こっていたのか、敗因を掘り下げられたらと思います。

敗因1. システムのミスマッチが生じていた。

カタールは、5バック⇔3バックを、相手の戦況に合わせて変更させる柔軟さを兼ね備えており、日本はというと、 大迫選手を不動の1トップに置いた "4-5-1" をベースとして、2列目の3人(特に トップ下の南野と、右サイドの堂安)と連動した布陣を鉄板としていました。

決勝戦当日まで、相手の布陣がどちらになるかは分からず、結局 1トップのまま布陣を変えずに、5バックに相対した前半の姿は見る影もなく、日本にとって悪い印象しかありませんでした。大迫選手と南野選手の中央突破も殆どはじき返され、逆にカタールのFW アルモエズ・アリに得点を許します。

武藤選手や、伊藤選手も調子が良かったので、1トップではなく、2トップ、3トップでいけば 前半開始早々から戦況は変わっていたかもしれません。

敗因2. 替えの利かないスタメンに固執し過ぎた。

このアジア杯では、左サイドを任されていた中島選手が怪我により招集されず、代わりにべティスで不遇を味わっていた乾選手を呼びましたが、スタメンで使われたのは、ロシアW杯で右サイドを兼任していた原口選手でした。

この決勝の舞台、誰しもが「何故、乾選手を使わないんじゃーーーっ!」と心を鬼にして思っていたに違いないと僕は感じていますが、皆さんはどう思われたでしょうか。逆に、右サイドを原口選手にするとか戦略はいくらでも考えられたはずなのですが、森保監督は、是が非でもスタメン固定に拘っていたように思えます。

とはいえですよ、控えのサブ組全員の力が必要と言っていた割には使う機会が余りにも少ない。結局、ローテーションが組めないぐらいの戦力でしかなかったと言わざるを得ません。海外に渡る選手が多い中、国内組の底上げは最優先の課題と言えるでしょう。また、コンディションの維持や怪我をしない体幹作りも必要不可欠の要素となっています。

敗因3. 後味の悪さだけが残る後手後手の采配だった。

森保監督の腕の見せ所としては、3人使える交代枠の使いどころだったはずですが、、結果的に 戦況を劇的に変える采配にはならず、後味の悪い結果しか生んでません。後半62分 原口選手に代えて武藤選手、84分 塩谷選手に代えて伊藤選手、89分 南野選手に代えて 乾選手。これでは、もはや どう相手を崩してどう立て直せば点が入るのか?といったような冷静な判断も出来るはずもなかったと思われます。

ピッチにいる選手には、攻撃的なポジションの選手が3人投入されたからギアを入れろ!とは目に映るかもしれませんが、とにかく時間が足りなさ過ぎました。乾選手は、前半の戦況を冷静に分析し、"真ん中よりもサイドを突いた方が良い" と見て説いて 森保監督にも後半開始からの交代を直訴していたようです。ただ、投入されたのは後半も終わり間際の89分でした。一発も難しい状況ではどうすることも叶いません。

僕なら、ハーフタイムに堂安選手に代えて乾選手を入れて、原口選手を右に回します。これでロシアと同じ両翼になるのと、中央に切り込むのが好きな堂安選手と比べて原口選手の方が縦のスピードが活きるので、両ワイドで攻めるには良かったと感じます。10分~15分後に南野選手に代えて武藤選手を入れて2トップに変更し、最後の10分前ぐらいで原口選手に代えて伊藤選手の投入です。これで決まりですね。

敗因4. カタールの出足が想像以上に良かった。

カタールは、アジア杯を通して想像以上に調子が良かったと思います。2022年にサッカーW杯を開催する国としては、一定レベルの基準を達成したといえるのではないでしょうか。ここ数年、若手育成にも積極的に取り組んできた成果とも言えるでしょう。今大会で得点王に輝いたアルモエズ・アリもそうですが、各年代別でもカタールの選手は大活躍しています。

ひとつ言えることは、アジア各国ともに、欧州の監督を率先して受け入れて、若い世代からサッカーに打ち込める環境を整えてサッカーを学ばせているということ。こうすることで、アジアサッカー界全体のレベルアップに一躍買っているようです。ベトナムやタイ、インドの躍進、UAEやカタールの中東もそうですが、日本/韓国/オーストラリア/イランの4強も うかうかしていられない状況になりつつあります。

敗因5.  たらればだが 戦況を変える選手層が薄かった。

惜しむらくは、ここに尽きるのではないでしょうか。結局、交代枠で使われるのは、締めの塩谷選手、ジョーカーの伊藤選手が既定路線で、大迫選手の状態次第により 北川選手 or 武藤選手のチョイスでした。

個人的見解として、中島選手の代わりに10番を背負っている乾選手をもっと使って欲しかったのは確かですが、それ以上に戦況を変える選手層の薄さが気になりました。乾選手も途中から入るセットアッパーではないですし、何よりもっと調子の良い若手を招集しなかったのか疑問が残ります

例えば、サガン鳥栖から長谷部元日本代表選手の所属するフランクフルト(ドイツ)に移籍した鎌田大地選手。彼は、この今季後半から期限付き移籍したシントトロイデン(ベルギー)で躍動しています。前線からトップ下、両サイド、ボランチまで前目のポジションならどこでもこなせるポリバレント性を兼ね備えながら点取り屋としても類まれなる才能を発揮しており、今の代表に足りないキーマンとして、目下淡い期待を寄せています。

だからこそ、これからの代表に期待したいこと

アジア杯で最大の目標とされた "現代表と若手の融合" は、結果論でいうと大成功ではなかったと言わざるを得ないのではないか?というのが正直な感想です。言わずもがな、これまでの親善試合でブレークした2列目「南野/堂安」の2選手は、本大会では結果として振るわず、左サイドの中島がいて始めて、得点のチャンスを生み出せる気がしています。

逆にブレークしたのは、ボランチの遠藤航選手と、センターバックの冨安健洋選手でした。彼らが後ろに居るからこそ前目の選手は安心できるし、自由に動けるのも頷けます。

若手に限らずロシアW杯で活躍した選手も復活の兆しを見せています。ドルトムント(ドイツ)で出場の機会に恵まれなかった香川真司は、ベシクタシュ(トルコ)に期限付き移籍して劇的復活を遂げました!ブラボー !!!!!

ロシアW杯組と、若手の世代との融合は始まったばかり。コパ・アメリカを経由して世代間の連携を更に磨けば、ファンタスティックな日本のプレースタイルを海外に見せつけられると思っています。

コパ・アメリカは新たなる挑戦

やっぱり このアジア杯に呼べなかったメンバー中心に、もう一度挑戦して欲しい気持ちが強いですね。もしかすると、決勝T で因縁のカタールと再戦するかもしれませんし、是非 ポルティモンセ から カタールのアル・ドゥハイルに移籍した中島選手は見てみたい。 後、鎌田選手と、香川選手もですね。

実際のところ、日本代表にとっても新しいチャレンジが目白押しとなりそうで、、ブレーメン(ドイツ)所属の大迫選手は、コパ・アメリカへの参加を辞退するかもしれません。クラブ側が代表へ派遣する義務が無いためで、もしそうなったとしても、大迫選手に代わる選手を発掘してシステムを試す絶好の機会ともいえると思います。


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