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【日々】まわり見てねえでオマエ自身でノれよ|二〇二二年十二月
二〇二二年十二月十三日
静かに凍る街、たちのぼる吐息。もやをまとった明るい月と見つめ合いながらあるく。ヘッドホンからながれる羊文学『マヨイガ』が、じぶんのためだけに宇宙をつくっている。夢幻。
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二〇二二年十二月十四日
いちにち休み。きのうのカレーの残りをたらふく。落ち着いて珈琲をいれる。ハンドドリップの出来はまずまず。久しぶりに絵を描いた。ささっと夕飯の準備をすませていく。たまごやきが綺麗に仕上がる。
駅へ向かう道すがら、ひかる夕焼けに目を奪われた。沈みぎわの眩い薄だいだいと、夜へ橋を渡している淡いむらさき、昼の名残りの蒼、そして夜の群青へ。この、夜と昼を繋いでいるはかないむらさきが狂おしいほどにすき。なんと言い表して良いか分からない、iPhoneで撮る写真になんてうつせない、あの色と、みているときの気持ち。
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◇
たとえスーパードライだろうと、ライヴ会場で呑みゃあ死ぬほどうまい。最高。しかし、こんな満員電車みたいなライヴ会場は久しぶりだ。それも、まわりには自分よりもっと若いであろう人たちばかり。始まる前から疲れ切ってしまいそうだ……。
それでも、始まってしまえばそんな心配は無用だった。それはひとえに、ステージに立つChilli Beans.のメンバーたちのプレイがあってのこと。わたしが初めて生でみた6月のライヴからわずか半年の間に、素人耳で聴いても物凄いパワーアップを感じさせるような仕上がりだった。Motoの表現力もいいけど、Maikaの明朗快活なうまさが良い。こんなに踊れるナンバーばかりなのに、身動きのとれないぎゅうぎゅうな空間で聴かなきゃいけないのは勿体無いにつきる。
一方でこれもずいぶん久方ぶりにみた、"お決まり"のハンズアップの群れがなんだか気持ちが悪く感じたのは、自分がもう若くないからだろうか。周りにあわせてなんとなくやるくらいならやめちまえよと思う。こんなに素晴らしい音が鳴っているのに、今、お前自身でノらなくてどうするんだよ。そんな激しいきもちを持て余しながら聴いて……はたと思う。わたしはいったい誰に対して怒っているのだろう。こういうときは大抵、自分自身にいらいらしているものだ。なにがそんなに気に食わないのだ、そんなことでカッカしたって何にもならないだろう……。
群れの中にいるのが嫌ですぐに会場を出てしまったから、何にも写真記録をとっていない。余韻に浸りながらかえろうとつけたヘッドホンは突然の電池切れでうんともすんとも言わない。しまらないなあ。だせえなあ。
二〇二二年十二月十五日
深淵みたいにくらい群青の中に所在なげにうかぶ雲。いいようのない孤独感と浮遊感がはしる。冬の夜空はこんなふうに直接的に宇宙を伝えてくる。気分の落ち込みが激しいのは、おそらく昨夜うまく眠れなかったせいだろう。
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