ひび|2024.02.11
いつもの電車に乗って、いつものようにドア横にもたれて、いつものように文庫本をひらく。でもふいに車窓に目をやって、飛び込んできた景色はいつもよりまぶしかったし、あんな看板あったっけって、今更はじめてみたような気持ちがする。空がとにかく、蒼い。目の前に立っていたオバサンは駅に着くやいなや上り方面へ向かってピョコピョコせわしく首を動かして落ち着かない。降りるわけでもなくまた車内に戻って、しきりにまたピョコピョコやっている。白く着ぶくれたコオト姿が、巨大な白鳩のようで可笑しい。扉が閉