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新人研修に革命を!担当者が語り尽くすサイボウズカスタマー本部の研修制度「みんトレ」の成功事例&苦労話

サイボウズマガジン編集部です。2023年もどうぞよろしくお願いします!
さて、今回は毎年やってくる「新入社員研修」について。

年が明けると時間が経つのは早いもので、春の新入社員入社に向け「そろそろプログラムを考えないと……」と思っている人事・採用部門の方、各部署の担当者の方、いらっしゃるのではないでしょうか?
「改善したいとは思っているけど、毎年調整しようと思っているうちに研修タイミングが来てしまう」「コロナ禍でどう研修すればいいのか?」「全体研修は少しだけやって、あとは現場のOJTで」など、いろいろなお悩みがあると思います。

主に製品契約後のお客様向けの施策を担当するサイボウズのカスタマー本部も、かつては自社の 新人研修や人材育成に関して多くの悩みを抱えてきました。
そこで、そんな状況を打開するべく!2021年より、新しい形の新人共通研修プログラム 「みんトレ」が立ちあがることになったのです!

今回は、「みんトレ」を中心となって運営するカスタマー本部TDSチームの赤尾玲美さんと福田由佳さんにインタビューを行い、成功事例や苦労話、失敗談などを余すことなく語ってもらいました。
さらに、サイボウズ製品、特に「Garoon」「kintone」を使って研修プログラムを作る過程も公開!きっと皆さんの会社での研修プログラム立案の参考になるのではないでしょうか? どうぞ最後までご覧ください!

※TDS=Training&Development Supportの略

■「みんトレ」の名前の由来は、なんと「競争馬」!?

Q.そもそも「みんトレ」が生まれるきっかけや背景は何だったのでしょうか?

A.カスタマー本部でお客様のサポートをするCR(カスタマーリレーション)部、CS(カスタマーサクセス)部、CS企画推進部の情報交換会が、「みんトレ」発足のきっかけでした。
かつては人事主催の全体研修があり、その後各部署に配属されるという流れでした。
しかし、カスタマー本部だけでも、それぞれの部署で独自の研修プログラムや運営チームが存在していたんです。そうなると、プログラム自体のクオリティにばらつきがあり、研修終了後に新入社員が安心して実務に移るという点で不安がありました。

そこで、「カスタマー本部内のスキル平準化」「リアル・リモートのハイブリッド開催」「翌年以降に再現性がある」という観点から、カスタマー本部の共通研修「みんトレ」を作ろう!となったわけですね。
そうすれば、結果的に研修のスマート化や負担軽減、本部内での知識の標準化、人材の定着などが実現でき、カスタマー本部全体の人材強化を目指すことが可能になると考えました。

ちなみに「みんトレ」は「みんなのトレーニングセンター」の略で、競走馬を育成する施設「トレーニングセンター(トレセン)」が由来です。新入社員がこの「みんトレ」を受講することで、まるで競走馬がレースに出走して輝くように、カスタマー本部の新入社員も各部署に配属されてから輝いて仕事ができるように、という意味が込められています。

Q.コロナ禍ということで準備も大変そうですが、どういう形で進めていきましたか?

A.2022年春のみんトレ第1期に向け、まずは先ほどお話ししたCR部、CS部、CS企画推進部の3部署で会議をもちました。この3部署、特にCR部は他部署に比べてそれぞれの研修プログラムが実際に運用されていたので、そこから各部署でお互いに必要と思われる研修をすり合わせていきました。そこで、2021年の春にCS企画推進部内にできた「TDS(Training&Development Support)」チームが中心となり、部署をまたいで共通研修をやってみようということで、2021年秋頃にみんトレプロジェクトが発足されました。スケジュール調整や講師となる社員の選定なども含めてまったくのゼロベースから作らなければならなかったので、研修の立案から実施、振り返りまで含めて7、8か月でパッケージングする必要がありました。

■とにかく大事なのは「コレ」に尽きる!

Q.運営チームとして、「ここはうまくいったな」という点や、大事にしていた点はどこですか?

A.一番大事にしていたのは、「情報の見える化」「情報共有」でしたね。
本部内の共通研修自体がはじめての取り組みだったのでノウハウもなく、受講する新入社員はもちろんのこと、講師を務める先輩社員も初めての経験だったので、まずはとにかく研修の目的やコンセプトを丁寧に説明し、常に情報共有を行っていました。
また、研修のコマ数が多い+コロナ禍が若干落ち着いた時期でもあったので、リアルで受講生が集う形式も取り入れたいと思っていました。同期や他部署のいわゆる「横の絆」を深めてもらいたいなと。
他には、研修に関する意見をいつでも誰でも登録できる「KPTアプリ」を作り、このまま続けたいこと(Keep)、問題点(Problem)、改善案(Try)を集めていきました。

KPTアプリの例
受講者、チューター、講師がそれぞれ気づいたことを入力する

Q.そこまで徹底してやるとなると、苦労話もたくさんありそうですが……?

A.たくさんあります!(笑)

まずは、「あれもこれも達成したい」と研修コンセプトが大盛りになってしまったこと。盛り込みすぎると講師側も受講側も、「この研修プロジェクトの目的はなんだったっけ?」となって達成したいことがぼやけてしまったり、学びを振り返る時にあいまいになってしまうので、プロジェクトメンバーの思いを凝縮させた結果、研修のコンセプト(ゴール)を「これからカスタマー本部の一員として働く助走ができた」と設定しました。

また、ご時世的にコロナに感染してしまったり、濃厚接触者になった社員のために、リアル開催がメインでもすぐにオンライン環境を並行稼働できる状態にしたりと、研修開始直後からリアルとリモートのハイブリッドを求められました。時期的にコロナがいったん落ち着いてきた時期だったので、同期入社の絆を深めてもらいたいとリアル寄りの開催をメインに置きたかったのですが、並行してオンライン環境を設けておくことで、研修自体がキャンセルされることなく進められました。

意外と大変だったのは研修を録画して翌年以降に使うための設定や手間ですね。web会議システムのzoomを用いて講義を行うんですが、リアルタイムで参加できない受講者や来年以降に用いるコンテンツにしたいという意図があったため、毎回の講義を録画していたんです。それが結構手間で(笑) zoomの会議URLを発行するのを分担して、録画を変換するPCと手間を分散させたりして回避しましたが、講師や受講生の手間だけでなく、自分たち運営にも負担がかからないようにするのが大事だと実感しました。

それでも結果として休憩時間などの調整がやや窮屈になってしまったり、講義ではなく先輩社員と「交流」する時間がなかなか設けられなかったりと、次回以降の反省点も見えてきました。

■サイボウズ製品を使い倒して「業務の見える化」と「情報共有」をしよう!

Q.いろいろ紆余曲折ありながらも無事に運営できたみんトレですが、お話を聞いているとサイボウズ製品をばしばし使っていますよね。具体的な使い方を教えてもらえますか?

A.サイボウズ社員ですから使い倒しています!(笑)

サイボウズでは、主に「Garoon」「kintone」を使って普段の業務をしています。みんトレも同じで、たとえば研修講師のスケジュール調整をGaroonで行い、決まったらzoomURLを発行しています。共通研修の場合は、kintoneの共通研修リストにコンテンツを登録し、そこに資料や録画データなどをすべて集約して振り返りやすいようにしました

Garoonのスケジュール登録例
受講者は研修の時間になったら各コマの予定をクリックし、
記載されているzoom会議室にアクセスする
スケジュールの詳細例
zoomのURLや資料の格納先リンクが貼られている

また、kintoneに研修で使うスペースやアプリをすべてそろえた「共通研修ポータル」を作って、受講生に「まずはここにアクセスしてね」と伝えました。このスペースには、日報、分報(社内SNSのようなもの)、チューターと受講生の連絡・相談スレッド、会議の実況スレッド、研修課題をまとめたスレッド、各種アプリなどを格納しています。

kintone上に作成された「共通研修ポータル」

ポータルトップの左側にある「お知らせ欄」のデザインや配置を工夫して、アイコンを多用したりポップな雰囲気にしたりと、アクセスしやすい雰囲気を醸成して、「これは使いやすいものなんだ」と思ってもらう工夫をしました。

Q.そのように製品を活用していくなかで感じられた嬉しいこと、ハッピーなことがあればぜひ聞かせてもらえますか?

A.これは製品を使っているなかだけでなく「みんトレ」の運営を含めた全体を通して感じたことになりますが、ポジティブな変化があちこちで起きていること、でしょうか。

たとえば研修担当者の視点で見ると、今まであまり交流のなかった他部署や他拠点の人と交流するきっかけができて、研修以降のよい関係性構築にもつながっていますよね。「あの時研修でお世話になりました」みたいなことがきっかけでアイスブレイクできるというか。これは新入社員を受け入れる部署側の変化でもあるんですが、業務で関わる部署以外が何をやっているのかを認知しやすくなって、部署横断のプロジェクトが増えてきたことは実感としてありますね。新入社員だけでなくキャリア入社した社員への研修にも応用ができますし、より「チーム」であることの意識は増しました。

Q.今後の「みんトレ」はどのようにしていきたいですか?

A.カスタマー本部全体でも、共通研修をすることの意義の大きさを実感しているので、今度は研修を受ける側の新入社員やキャリア入社の社員だけでなく、運営・チューターのような「教える側」の社員のフォローにも派生できたらいいなと思っています。ちょうど今月頭に「みんトレ」第2回のキックオフがあったので、去年積み上げていくことを活かしつつ、常に新しいことができればと思っています!

ありがとうございました!

■編集後記

働き方や研修プログラムなどについて、よく「先進的な取り組みをされていますね」という声をいただくことが多いサイボウズですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。今回の「みんトレ」が現在進行形で進化・変化していくように、社員一人一人が日々試行錯誤とチャレンジを積み重ねて、「よりよい研修にしよう」という流れを作っています。うまくいかないこともたくさんありますが、それでも、社内外で活躍できるチーム、チームワークづくりのために尽力し続けています。

みなさんの会社においても、今回取り上げた事例が少しでも参考になればいいなと、編集部一同願っています!

ご覧いただき、ありがとうございました!