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隣人としての難民に出会う

こんにちは😊牧です。久しぶりの執筆🖊となりますが、来る6月20日「世界🌎難民の日」にちなんで、今回も日本国内で暮らす難民をテーマにお話します。



辛いニュース

先週の6月9日、「なぜこのタイミングで?」と思わせるような出来事が起こりました。今年3月、「出入国管理及び難民認定法」(入管難民法)の改正案が国会に提出されて以来、弁護士、市民団体、宗教団体、有識者などのグループ組織が次々と反対声明を出すとともに、国会前のシットインや全国各地で様々な抗議行動が展開されていたにもかかわらず、5月9日、衆議院で可決、その1カ月後には参議院において強行採決されました。これによって、難民認定の申請は原則2回までに制限し、3回目以降の申請者を強制送還することが可能になってしまいました。
 
すでに力を持っている、優位に立つマジョリティの意見が優先され、マイノリティや声なき声はもはや聴かれることがなく、今回の強行採決を通して、わたしは民主主義の危機を感じました。
 
難民認定に関わる重要な立場にある方による「日本の難民認定申請者には難民がほとんどいない」というおおやけの場での発言は世間の議論を引き起こしました。

クラウディオさんとの出会い

わたしは難民でありながらも日本政府から難民として認められず複数回、不認定とされた人たちとの関わりがあり、その一人一人の顔が浮かび、とても辛い気持ちになりました。この法案が可決された数日前、わたしはそのなかの一人であるチリ人のクラウディオさんのお部屋を友人たちと訪問していました。彼から細やかで優しさに溢れたもてなしを受け、都会の片隅で静かで謙虚な彼の暮らしぶりに触れ、日頃のストレスを忘れ、わたしたちも平和な気持ちになりました。

日本語学習支援者のケイコさん・アカネさんとクラウディオさん宅でランチ:©CWS Japan

プロのシェフであるクラウディオ・ぺ二ャさんは来日してから、すでに20年以上になります。70年代にチリで起きたクーデターにご家族が巻き込まれ、そのせいで90年代の民主化後、迫害を受けてしまい、身の安全のため、母国を離れ、ヨーロッパで暮らした後、日本にたどり着き、都内のレストランで人気シェフとして腕を振るっていました。その彼の人生を狂わせてしまったのが、2011年の東日本大震災でした。彼が働くはずだった店のオーナーが震災を機に閉店を決め、帰国してしまったことによって、保証人を失い、その結果、在留資格を失ってしまった話を聴きました。2011年の震災はこんな形でも誰かの人生を狂わせてしまったのかと愕然がくぜんとしました。
 

クラウディオさんのプレートランチ©アカネさん

難民のライフストーリー

彼の話を聴いていて、実は、わたしがこれまでに出会ったチリ国籍の難民はクラウディオさんが初めてではないことをふと思い出しました。自分の人生で最初に関わったルワンダ難民キャンプの仕事で出会い、わたしをリクルートしたかつての上司も、そう言えばチリ人で元難民でした。その上司の自宅で(彼が言うには世界最高の)チリのワインがふるまわれ、自身が難民としてイギリスに渡り、そこで教育を受けた後、同じ境遇のチリ人の妻と夫婦で難民への教育支援を行っていた現場の話を聴いたことがあると話したところ、「その上司もきっとクーデターの時の難民かもしれない」とクラウディオさんに言われました。
 
また、ここで一つ、自分の過去の経験と今、目の前にいる難民の方のライフストーリーがつながったような気がしました。

クラウディオさん作:入管収容所内から見えた空©CWS Japan

隣人としての難民に出会う

このように難民一人一人に人生があり、日本にたどり着くまでのライフストーリーがあります。このような一人の人生は書類で判断され、決めつけられることではないはずです。
 
「マイノリティの声をマジョリティにしたい。」そのためには、一人でも多くの市民が日本にいる難民に出会い、存在を理解し、隣人として受入られる共生社会を創りたい。その機会と場を提供したくて、新大久保の教会でコミュニティ・カフェを開店し、彼らのような難民を主役にと、5月の連休にはワールド・バザールを開催しました。

コミュニティ・カフェ@大久保では、8月の企画として、クラウディオさんを講師としてお招きし、チリ料理のクッキングレッスンを準備中です。募集案内は随時、コミュニティ・カフェ@大久保のSNSでご案内いたします。

◆◇◆コミュニティ・カフェ@大久保 公式アカウント◆◇◆
Facebook: https://www.facebook.com/community.cafe.okubo
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Instagram:https://www.instagram.com/commucafe2023/   

チリのエンパナーダを作ろう!©CWS Japan

皆様のご来店をお待ちしています。

(文:ディレクター 牧 由希子)

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