若者の終活を考える
「いなくなってから、何もわからないのよ」
とその人は言った。
同い年の友人が亡くなったのは昨年のこと。
彼の母と会う機会があり、そこでの彼女の言葉だった。
彼のiphoneにはロックがかかり、部屋には友人を示すような記録媒体もない。彼が当時付き合っていた女性がインスタグラムで彼の死を公表し、やっと彼の友人たちに広めることができたという。
こういった事象は、いまの社会ならではだろう。紙媒体で何かを遺すことが少なくなっているのだ。
そこでハッと思いついたのが、「若者向け終活サービス」だ。アプリをつくろう。自分が死んだあと、どうしてほしいかを示すアプリを。
たとえばお葬式に呼んでほしい友人、知人の連絡先や遺族に伝えておきたいこと、お葬式の内容の希望などを書き込める場所をつくる。家族と本人がそれぞれアプリを入れ、亡くなったあとにパスワードを入力することで家族が見れるようにする。少し前にDeleというドラマがあっていたが、あの発想に近い。法律には詳しくないが、これが遺言の役目を果たすならもっと価値があるものになるだろう。
死ぬのは怖い。
だけど自分は若い。
明日も明後日もきっと生きている。
無意識にそんなふうに考えている若者は多いと思う。わたしもそうかもしれない。
でも、そんなことはない。
事故や事件だけでなく、天災もある。
本当に「いつ死ぬかわからない」のだ。
死ぬ前に準備をしましょうという意味の「終活」は主に高齢者に使われるが、これは誰にでも当てはまること。
あの人をお葬式に呼んでほしい。
お葬式ではこの曲を流してほしい。
あの本は宝物だから取っておいてほしい。
貯めたお金は両親に受け取ってほしい。
そんなふうに、前向きに死を考えるきっかけにならないだろうか。
ここ数日頭の中をぐるぐるしていた、若者の終活について。ここに残すことで何か意味をもつといいなと思います。
おわり
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