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そうだ、noteに向かおう【ショートショート】

こんなに暑い夏も
盛んになく蝉の声と共に過ぎ去ってしまいそう
今年の夏は、早く終わって仕舞うのだろうか?

身辺の整理をしながら
『公共料金の引き落としは、一箇所にまとめないとわからなくやるよなぁ』とか
『ほとんど使ってないサブスクは解約しないと、勿体ないなぁ』とか
『車の処分も考えないと』など
前々から、やろうと思っていたことに、やっと手をつけている。


でも、こんな作業だけで『わたしの人生が』終わってしまうのは嫌だと
考えながら、リストアップしていく。

「どこかで有給も使うことになるか…」わたしは、まだ仕事を辞めてはいない。

「夕方には、部屋の整理もしよう、さしあたり、わたしの衣類からかなぁ」と思いながら、
頭の中で勝手に『自分1号と2号』の会話が始まる。
「何やっているのアンタ、あんな変なメール信じているの?」
「いやいや、メールのせいだけじゃないって、元々片付けたかったことだから…」
不安で止まらない思考に


「洗濯物干すのを手伝って」と母の声がかかる、わたしは慌てて意識を現実に戻す。
「意外に外は少し涼しいよ、干し終わったら、一緒に朝ごはん食べよう」と何とも温かい言葉。

夏物の衣類が揺れる軒下で母とふたり。

「高い所はわたしが干すから、母さんは洗濯物をとってくれる」
かかとをあげて背伸びをする、バランスを崩さないように。

わたしのユラユラと揺れる思考もバランスを崩さないようにしなければ。


危うい足元に気を遣いながら、しっかりとキープした。

『誰かに相談したい』でも、友達の少ないわたしに、当てなどなかった。
仮に誰かに相談しても、笑い話にして、本気で心配はしないだろう。

わたしは不器用で、気のいい会話が苦手。
友達より、考えるスピードが少し遅い。
ノリのいい会話にノリのいい返事で返そうとすると、
とっくに会話は進んでいる。
だから、取り残されないようにと『うん、うん、』と相槌を打っている。
「聞き上手だよね」と言われるが、そう言うわけではない、困ったものだ。

自分の『出来ない』に目を向けると苦しくなる。
今は『出来ないこと』を見つめない、
わたしには、残された時間はわずかだから。

ゆっくりと目をつぶり、自分の呼吸を整える。



そうだ、noteに向かおう。



晩御飯の後にはnoteに向かう時間をちゃんと確保しよう。
母さんは、大河ドラマを見ているから、わたしはその前に
晩御飯の片付けの皿洗いとお風呂もすましておこう。

noteに向かうことを考えたら、わたしは何だか嬉しくなった。


「母さん、朝ごはんは昨夜の晩御飯の残りのチャプチェでいい?」
「もちろん、ありがとう」

テレビの中の政治家さんの話しに耳を傾け「うんうん、なるほど」と頷きながら
ふたりで一緒に、同じご飯をいただいている。
ささやかな幸せほど、心にじんわりと、沁みてくるものはない。










最後までお読みいただきありがとうございました。

第一話『そのメールには…。』
第二話『幼いままの君を見てるとホッとする』の続きのつもりで書きました



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