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抱きしめたい。

あなたが僕から離れようとする時には、
知ってか知らずか家族のことを話し出す。

あなたは何気なく僕との壁をつくっては、
さりげなく距離を保とうとする。
僕の心はその度ごとに、深く深くえぐられる。

あなたはいつも笑顔の向こうで淋しそうに泣いている。
僕に気づかれないように泣いている。

出来るなら、あなたを優しくギュッと抱きしめたい。
でもそんなことをしたら、あなたは僕のそばから
遠く遠く離れてしまう。

あなたは僕を利用しているのかもしれない。
あなたが生きていくために僕が必要なのかもしれない。

だったら僕はそれでもいいんだ。

あなたがどんなに深く暗い谷の淵を歩いているかを
あの時あなたが笑顔で話してくれた、
涙をこらえる震えた瞳を
僕は知ってしまったから…。






最後までお読みいただきありがとうございました。
タイトルのお写真は
映画『余命10年』公式note 様からお借りいたしまいた。
映画『余命10年』公式note 様 ありがとうございました。







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