47才のキャンパスライフ 〜慶應一年生ミュージシャンの日々〜 55「LINEを交換したりして!」
「マクドナルド理論」というのがあるらしい。今ちょうど朝マックを食べてるので(ソーセージエッグマフィンをいつも食べます)頭によぎったんだけど、「マクドナルド理論」とは世界で一番大きなファストフードチェーンを生み出すための理論…ではなくて
ということらしい。(僕はマックが好きなので、昼食に提案されたら「いいね!」ってなっちゃいそうだけど)
なんか作業興奮の話とも少し似ていて、要するに始まっちゃえば物事は動いていくので、最初はクオリティはともかくとりあえず始めちまいましょうということだと理解している。
この言葉を知って、授業中のディスカッションにおいても沈黙を破る事に抵抗を感じにくくなった。なんか「おじさんが最初に発言しちゃ良くないかな」とか「俺が思いつくようなことは皆思いついてるだろうしな」なんて遠慮もあったんだけど、僕はマクドナルドを提案しているのだと思うとそんな抵抗が薄れる。僕の意見が凡庸でも、わ、わざとなんだからね…!っと自分を納得させられるという効用もある笑。
秋学期になり、僕が履修している中でディスカッションがある授業はほぼ英語だけになった。先日の話題は、遺伝子操作的な、デザイナーベビー的な存在についてだった。そのような自然出産でない人達の存在がもし一般的になったら、社会でどんな事が起こるか、またそのような技術を発展させることに賛成か反対かという議題だった。
その時は僕はなんと発言したか忘れたけど、やっぱりマクドナルド的な事を言ったと思う。そうすると隣の席のA氏は
「しかし、そのような存在は社会の中で新しい偏見や差別を生みかねません。なぜかというと…」
と、端正なイギリス英語で整理された論をよどみなく展開した。うむー頭良い!
ちなみにA氏は僕と同じ海外在住経験のないノンネイティブ英語話者であるが、敢えてクイーンズイングリッシュ(っていうんですか)を意識的に操る、ジェントルマンである。一度電車の都合で二人とも授業に遅れていった事があるんだけど、駅から僕と歩を合わせて一緒に走ってくれた。なんだったら改札でまごついた僕を待ってくれた。ジェントル!
A氏の論を聞いて僕が「なるほど、んだんだ」と頷いていると、その隣のB氏が
「それはおかしくない?」
とすかさず差し込んできた。彼の入りはいつもジャックナイフ的である。ちなみにB氏も確か海外在住経験はなかったと聞いた気がするけど、インターナショナルスクールに通っていて小学生の6年間はバリバリに英語を使っていたらしい。発音は米語寄りで、どちらかというとカジュアルでフランクである。
「差別や偏見の問題というのは、飽くまでその行為や構造にあるのであって、差別される対象の問題ではないじゃん。それだったら有色人種差別があるから有色人の存在はまずいって話になっちゃうじゃん」
みたいなニュアンスのことを、クリスプみのある英語で言った。うむー頭良い!
このようにしてどんどんと論が展開していくので、授業はとても楽しい。英語だと、敬語とかそういうのがあんまりないので、他の授業でのクラスメイトとの距離が近く感じて嬉しいのである。
そんなA氏B氏と先日はじめてLINEを交換した!
47才のキャンパスライフ、おかげさまで少しずつ大学生みが増してきているようであります。ありがたし。