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ADHDがスタババイトしてみた

動機編

ホテルバイトの昼休憩中、外で食事をとった後勤務中であったことを忘れてそのまま帰宅してしまい、クビになる。

次のバイトは飲食をやってみようと考え、飲食業界tierが高そうなスタバに応募した。ちょうど近くで募集してたし。


面接編

面接はすんなり通った。相手はその店舗の店長だった。

何を聞かれたかはっきりとは覚えていないが、質問内容から推定される理想の人物像を演じることにした。

結果、高校時代は生徒会長でサッカー部副キャプテン、体育祭では団長として総合優勝に導き、卒業式では証書を生徒代表の成績優秀者として受け取ったことになってしまった。

もちろん全部嘘である。その場で考えた。いや、考えるより先に口が嘘をついていた。

「先生方の意向と生徒達の要望を擦り合わせて調整するのが大変だった」ことにした。

好きなスタバのドリンクを聞かれ、「チョコレートフラペチーノ」という架空のドリンクを答えてしまったことだけが痛手だったがなんとか採用された。ありがとう店長。

研修編

研修も意外とすんなり進んだ。実際にドリンクを作成して試飲するのだが、その過程でカフェインを大量摂取することによる覚醒作用のおかげかもしれない。

研修は大きく分けて座学とOJT(実際の業務を先輩と組んで行う)がある。
座学は動画を視聴する。内容は至って普通で、なんでこれであの高品質店員を大量生産できるのか謎だった。俺は話を聞くのが苦手なので8割くらいは気絶していた。

OJTでレジ業務を行なっていると、えぐでかい真珠のブレスレットを着けたマダムに「頑張ってね!」と言われた。客が目の前にいる接客業なかなかやりがいあっていいじゃないか、などと呑気に思っていた。まだこの時は。

なお、勤務時間外でレシピをノートに写すという「自己研鑽」もあるので注意が必要だ。

「サッカーやってた人なら大丈夫だよ!視野広いから!」と言われ、面接で話したことをすっかり忘れて
「え?もうだいぶ前に辞めましたけど」
と返してしまったことだけが痛手だったがなんとか研修を修了した。
ごめんなさい店長。

ℬ𝒶𝓇𝒾𝓈𝓉𝒶 𝓈𝒽𝑜𝓇𝓉編

Barista shortというのはスタバで一番下の階級だ。辞めるまで1階級も昇進しなかったため以降ずっとBarista short編となる。

研修が終わると一人でオペレーションを回すことになる。ここから雲行きが怪しくなる。

まずレシピを覚えられない。新作が出るたびに憂鬱だった。

新作新作新作、新作ノイローゼになりそうだった。地元にある「洋服の青山」の定期閉店セールより頻繁に新作が出る。

Starbucks Coffee Japanは新作のたびにバズって儲かるが、某店舗で働く俺の時給は1000円ちょっとのままだ。

700円のクリーム付きかき氷を買う人がこんなにいるなんて流石に予想していなかった。

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