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2015年05月26日記/マイベスト朝食シーン、モーリス・ロネ

*旧ブログexciteblog 「M's」2015年 05月 26日付、より移動。

まるで喉が渇いたビール好きのように、すごく飲みたくて、すごく見たくてたまらない映画がある。簡単に見られないもんだから、代わりに定期的に話題にしたくなる。壊れたレコーダーのごとく同じエピソードを語る。

「見て見て、すごい映画があるよ(共感しようよ)」と強引に相手を自分の世界に引き入れようとするけれど、いつも初めて知ったかのごとく聞いてくれるのは長年の親友ーあうんの呼吸ーだけだ。

アラン・ドロンの映画「太陽が知っている 」。

「死刑台のエレベーター」のモーリス・ロネ、ジェーン・バーキン、ドロンの婚約者だったロミー・シュナイダーが共演する。

なんせ数年前に一度観たことがあるきりだ。ツタヤお取り寄せの手段が残されているにしても、一般のレンタル屋で見かけることはほとんどない。「太陽がいっぱい」はあってもこの映画はない。

筋はあまり思い出せない。覚えているのはくりかえしくりかえし、壊れた記憶装置よろしく脳内スクリーンいっぱいに広がるこのシーンだ。

モーリス・ロネが、真っ青なプールサイドで、アラン・ドロンの冷たい視線を浴びながら、ブラックコーヒーをごくりとひとくち、パンにバターとてんこ盛りのジャムを付けてはがつがつ食べる。

アラン・ドロン一辺倒だったのに、モーリス・ロネはすばらしいと思った瞬間だ。まさに夢見てやまないフランスの朝食がここにはある。この映画には私の憧れすべてが詰まっていると言っても過言ではない。


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