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配属先は閉鎖病棟

クリニックを離れて約8年。病棟を離れてからとなると18年もの月日が経っていた。
忘れていることばかりで、何からインプットし直せばよいのかわからぬまま初日を迎えた。

配属先は、閉鎖病棟。
閉鎖病棟とは言え、老年期の方がほとんどで平均年齢は75歳を上回るのだそう。

今日感じたこと。
ここ半年間ほど、派遣の仕事で、老人ホームやグループホームなどに行くことが多かった。
正直なところ、ホームと名のつくそこにいた入居者さんたちよりも、病院にいた患者さんたちはのびのびと過ごしているように感じた。

今日は初日ということで、オリエンテーションを受けて、病棟で過ごしながら見学をする。
廊下を歩いている人を多く見かけた。
そろそろそろーっと近づいては、挨拶をし、話をする。印象に残っているのは、オシャレなおじいさん。ズボンは療養着なんだけど、上半身はチェックのシャツにニット帽、首にも何やら巻いていた。訊いてみると、仕立て屋さんだったのだと。お父さんの代から受け継いだ店だったらしい。
「オシャレだなぁ、と思いながらずっと見てました。」と伝えると、嬉しそうな表情をして、仕事の話をする姿は生き生きしていて楽しそうだった。

50代くらいに見えた女性に話しかけると、「おやつ食べるために歩いてる。食べると太るからね。」
と話す。
「おやつ食べるの、楽しみにしてるんですね。」と声をかけると、「そう。売店に買いに行くの。」と。
病院内とはいえ、病棟を離れて好きなおやつを選ぶ時間は幸せだろうな、と想像した。





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