【またたび(旅)日記】部屋飲みを楽しんだ初日。
GWを少し過ぎた頃、一人で一泊2日の小旅行に行ってきた。
行き先は鎌倉、ともう一ヶ所、都内にある『相田みつを美術館』。
去年仕事を辞めてしばらくは、心も身体も疲切っていたせいか、どこへも出たくない、ずっと家に引きこもっていたいと思っていた。
でも今の私は、また旅に出ようという気持ちになって、そして実際に出掛けるくらいに回復している。
ちゃんと休むって大事だ。
グッジョブ、ちゃんと休んだ自分。
*
初日は、昼頃に家を出た。
もっと早く出発することもできたのだが、(その日は夫が仕事だったので)我が家の16歳になる猫を一人にする時間をなるべく短くするために、ちょっと遅めに家を出ることにしたのだ。
まあ猫にとっては、ゴハンさえ置いておいてくれれば飼い主など居ようが、居まいがどっちでも同じ、というか、むしろ突然「猫吸い」などウザい事をされないので居ないほうが気楽だと思われているかも知れないけれど。
ソファの上で丸くなって眠る猫に「いってくるね」と言い残して外に出ると、昨日からの雨がようやく止んで薄日はさしているものの、5月とは思えないほどの肌寒さだった。
そろそろクリーニングに出そうと思っていた薄手のコートを羽織ってちょうどいいくらい。
つい先日までは初夏を思わせるほどの陽気だったというのに……ひょっとして、これは日頃の行いというものか。
若干、幸先の悪さを感じながらも最寄り駅から電車に乗る。目的地は今日予約をしてあるホテルのある【藤沢駅】だ。
電車に揺られること数時間、藤沢駅に到着。
駅を出ると、空はどんよりと曇っていた。しかも風が強く、もはや肌寒いというより、寒い。
それでも初日は江ノ島へ行って海を見ようと思っていたので、寒さに震えながら江ノ電乗り場まで移動する。
電車の出発時間を確認すると、前の電車が行ったばかりだった……
仕方がない。
寒さに加えて結構な空腹感も感じていた私は、ちょっと腹ごなしをしようと駅の近くのバーガーキングに移動した。
そこでコーラを飲んだら、余計に寒くなった。
なぜセットの飲み物をホットコーヒーとか、そういう温かいものにしなかったのかと自分でも思ったが、寒さをしのぐよりもハンバーガーにはコーラ、という自身の固定観念の方が勝った結果だった。
この時点で私の心は決まった。
今日はもうどこへも行かずにホテルに直行しよう。
というのも、今回予約した宿はビジネスホテルながら天然温泉があるというホテルなのだ。
とにかくホテルにチェックインして、すぐに温泉で温まろう。
そうと決まれば、駅から徒歩2分の場所にある今日の宿に急ぎ足で向かった。
*
ホテルのフロントの女性はとても感じがよかった。
どこのホテルでもフロントの方はたいがい感じがいいのだが、今回の方はそれに加えてものすごく滑舌がよかった。
案内用のシートを手にキビキビと説明してくれる女性を目の前に、まるでフリップを使いながらニュースを伝えるアナウンサーのようだなぁなどとぼんやり考えていたら、いくつか説明を聞き逃したような気がするが、まあ何かあればまた聞きに来ることにしよう。
とりあえず今回私は【レディースルーム】という女性限定の部屋に泊まれるということが分かった。(予約の時点では部屋タイプは未定)
レディースルームは、枕やドライヤーなどがこの部屋限定の特別なものらしい。
私は枕やドライヤーにこれといったこだわりはないが、「限定」「特別」といわれると、やはりちょっと嬉しい。
部屋はごく普通のビジネスホテルといった感じだった。余分なもののないシンプルで清潔な部屋。
靴を脱いでスリッパに履き替える。得も言われぬ解放感と、やっと落ち着けるという安堵感。旅に出た時の嬉しい瞬間の一つである。
さっそく温泉にと思ったが、ちょっと待てよと考え直した。
温泉に入ったら今日はもう絶対にホテルから出たくない。ということは、夕食用の食料調達が先だ。そうだ、ここに来る途中にローソンがあった。あそこでなにか買ってこよう。
この時点で、外に食べに行く気はゼロである。
せっかく旅行に来たのに、旅先の食を楽しまないなんて勿体ないと思われるかも知れない。
もちろん余力があったり、どうしても行きたいお店があったりすれば食べに行くこともある。しかし私の場合、旅先での食事とくに夕食に関してはコンビニやスーパーで総菜を買って済ませることも多い。私にとって(たとえコンビニでも)見知らぬ街で買い物をして、一夜の宿で食べるというのは特別で楽しいことなのだ。
さっき脱いだ靴をもう一度履き直し、いそいそと買い出しに出掛ける。
時刻は夕方の5時過ぎ。外はまだ明るい。そして心なしか、さっきまでの強風が穏やかになっている気がする。
駅前のローソンで、酎ハイだのサラダだの、ちょっとしたおつまみやスイーツだのを買ってホテルに戻る。
それらを冷蔵庫に入れて、さて、とばかりに温泉へ向う。
ホテルの大浴場といっても、いわゆる温泉旅館のそれよりはこじんまりとしていたが、ユニットバスに比べれば全然快適だった。宿泊が平日だったからなのか、私のほかには3人ほど先客がいるだけで混み合ってはいなかった。翌日の朝も利用したが、同様だった。
温泉でしっかり温まり、部屋に戻っていよいよ一人宴会の始まりである。
カラカラの喉に冷えたグレープフルーツサワーを流し込む。うまーっ!
そしてお次は『蒸し鶏玉子サラダ』。
なになに、ドレッシングは「アマニ油入り和風オニオンドレッシング」ですと?
では、一口。うまーっ!
楽しい、楽しすぎる。
こういうのでいいんだよ、こういうので。(by井之頭五郎)
こんな風に、旅の初日はホテルの部屋飲みで終わった。
映え、全くなし。
でも私なりに満喫した一日でありました。
二日目の様子は次回に😊
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