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死者の住む家

 もう一人住まいの母と
連絡が取れなくなってから
夏の盛りの中3週間が過ぎようとしていた。
今日は忙しい仕事の合間を縫って休暇を取り
音信が途絶えている母の家に
行ってみようと思ったのだ。
みち子の母は、人情豊かな下町にあり
近所付き合いもそこそこにしていた。
みち子は駅から15分ほどの
2階建ての母の住んでいるアパートの前に
立ち家を見上げた。
窓は閉まっているので
旅行にでも行ったのかなと思った。
以前から預かっていた合鍵で
ドアを開けた。

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