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北アルプス 立山剱岳縦走


登山・写真紀行4

 昭和57年8月14日富山県立山町、立山信仰と深い関わりのある芦峅寺集落で一泊、立山駅から電車バスで室堂ターミナル到着、さすがに観光地、登山者も大勢、まずは一の越稜線を目指す。雄山山頂で結婚式を行っていて頂上神社には立ち寄れない。雄山神社売店で記念品を買う。今日は朝出発から雨が降り風もあり最悪の感じだ。大汝山(3,015m)、富士の折立、真砂岳と尾根の登山道であるが、視界はうっすらと足元に注意しながら剱御前小舎到着、ここで休憩し様子を見ることにして、まずラーメンを食べる、12時30分。
 雨は止みそうもないが剱岳に最も近い剱山荘まで行くことにする。山荘着2時20分。受付を終え2階へ上がり6畳間に10人程だ。悪天候のため登山者は多く学生が多い。朝5時45分、外は雨風、私は出発しようとすると親子の登山者と男性の青年が私に是非一緒にと同行を願われ雨具服装を確認し4人で出発。山荘にいた大勢の人達はこの悪天候で誰も出発する気配がない。
 一服剱から尾根状の岩峰、雨の中注意を促し前剱だ。この前剱は本峰と見間違うようなどっしりとした山容である。聞きしに勝る岩登りの連続だ。雨は少し弱くなって下界が見えて各谷間に伸びる雪渓もちらほら見えている。風は相変わらず強く、登りのカニのタテバイのクサリとボールトの助けを借りながら少し平坦な岩を踏んで頂上だ(2,999m)。頂上はものすごい風だ。お宮、祠がある。風のため4人とも声がない。天気が良かったらどんなに素晴らしかっただろうと4人共思ったと思うが達成感は充分に伝わってきた。頂上着8時30分。
 下山を開始、下りのカニのヨコバイ、ハシゴを伝わって前剱手前で雷鳥と出会う。2羽がいて私達を見ると1羽ずつ離れて行ってしまった。八ツ峰の岩峰は一寸見えて長次郎谷は見えない。4人共クロユリのコースを下り剣御前小舎到着10時。ここで私達は別れることになる。私はゆっくりしたいとの思いで別れを惜しみ、手を振りながら別れたのです。親子は新潟県魚津市で、男性は富山の人だったのです。あの別れの光景は今も目に残っています。
 ザックにカメラは布で包んでいてフィルムも5本用意していたのですが、雨のため何枚か撮った写真も全くダメ、当時はザックカバーもなくビニール袋などあったでしょうか。カメラの内部まで水が浸み込んで修理に出しました。カメラはニコンFフォトミックに100mmの望遠で万全で臨んだのですが今日の雨風ではどうしようもありませんでした。その数年後、剣御前小舎と剱山荘の中間から剣岳の写真を撮ることが出来ました。剱の雄姿の写真はそれで満足しています。


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