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北アルプス(鏡平から槍ヶ岳) 

登山・写真紀行1


今回は思い出に残るお話です。
 平成17年8月3日岐阜県新穂高温泉ターミナルから登山開始。左俣林道を進んで笠ヶ岳登山口ワサビ平小屋を見送り、小池新道の分岐に出る。ここからは道路も狭くなり通常の登山道になる。辺りの樹々も低くなり、展望が開けてくる。右側近くに穂高連峰が望まれ気分は盛り上がる。大きな岩も乗り越えながらまたも樹林帯に、ようやくゆるやかな木道になって進むと広い板敷の鏡池だ。予想した通りカメラマンが大勢だ。みんなの目標は槍ヶ岳と池に映る槍の絶景が目当てなのだ。私も今回で3回目になるが、私のカメラはモータードライブ付きのフイルムカメラでデジタルカメラもその頃広く認知されていましたが、私は従来のカメラにこだわっていたのです。
 まず鏡平山荘で受付を済ます。登山口からここまで約4時間半、現在午前11時前、山荘の北側にある池のほとりで遠くの槍ヶ岳を背景に木道を進む登山者を何枚も写す。夕食の時間も終わり、2階のベッドで隣の東京渋谷区から来た登山者と話が弾んですごく楽しく過ごすことが出来たのです。その人は83歳で、私はその時65歳で、色々な北アルプスのその人が歩いたコース、私が歩いたコース等話は尽きなかったのです。耳が一寸遠い感じで私は少し声を高めにしたのを、周囲の登山者も一緒になって聞いている感じでした。その人は鏡平山荘から稜線の弓折岳から笠ヶ岳に登る予定だと言っていたのです。
 次の日、朝早く槍の左肩から上がる朝日、ご来光を写すために弓折岳少し手前に陣取って日の出を待っていると、数人の登山者に混じって昨晩話し込んだ登山者も登って来たのです。私から声を掛け「元気でな」と言ってその人も笑顔で返し、今でもその時の事は忘れることはなく、あの登山者今どうしているだろうか、私も来年83歳になるのです。登山は出来るだろうか、あの時の登山者を目標にしているのですが、ご来光の写真はバッチリ何枚も撮ることが出来、大満足、小槍もバッチリ。
 今まで槍ヶ岳には5回挑戦して3回登頂したことがありますが、北アルプス、どこからも穂先が望まれる私の一番好きな山なのです。
          柳田 武男 82歳


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