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「磨くと輝く」で心穏やかに

磨くと磨いた分輝くと嬉しいが

「磨く」という言葉は前向き。
腕を磨く、心を磨く、人間を磨く、鑑賞眼を磨く、など磨けば良くなるという結果が伴います。
つまり努力や精進に見合って成長し、
良いことが起こるという感じのする言葉です。
とは言え、磨くことと成果や良いことが
結びつかないことが往々にしてあります(笑)。
前向きに頑張っているのに、
人生が上手くいかないと感じるときですね。

そんなとき、磨けば必ず輝くという実感を感じたくなりませんか。
私は感じます(笑)。
そこでハンコをつくるときに使う印材磨きをします。

印材をハンコにするには「平滑」が欠かせない

印材は判子を扱う店では木、動物の角や牙、水晶、金属などが主流ですが、
いわゆる篆刻の印材は石材が中心になります。
篆刻の印材はいろいろな産地のものがあります。
概ねは中国産になります。
中国旅行で氏名印などをつくってきたり、
印材をお土産に買って帰ってきた方も多いと思います。

こうした未使用の印材を使う時は印面を整えることから始めます。
見た目には平らのようですが、
ハンコにしていくには、印面の状態に応じて
何種類かの耐水紙ヤスリを使って平滑にしてから次の作業に入ります。
多くの場合、印面以外の5面は磨きが掛かっているので
ハンコとしてつくり終えるとそのままで問題ありません。

しかし、印面以外を磨き上げた状態でない印材もあります。
大きい塊で購入して必要な寸法に自分で加工するときは
ハンコの面のすべての面を平滑にすろことになります。

しかも印面以外を光沢のある状態にするには
「磨かれた状態」にする必要が生じます。
ここで「磨き」が出てくるのですが
磨きはいつも平滑の先にあります。

「磨く」レベルに入る前に
「平滑」のレベルになっていることが大切。
これは印材磨きだけではなさそうですね(笑)。

ヤスリの目を順番に上げてひたすら磨く

平滑にした印材を輝くものにするには、
より細かな粒子の耐水紙ヤスリで磨いていきます。
通常、平滑にするには耐水紙ヤスリの
今は120番、350番、500番、1000番を使っていますが
そう厳密なものではありません。
進め方はだんだん目の細かいものに替えていき、
その前に使ったやすりの跡を消していく感じで平滑にしていきます。
ヤスリは7㎝角位に切って平らに置いて
水に濡らした印材をできるだけ均等な力で
動かすのがコツと言えばコツですね。

「磨く」となると1000番までのヤスリでは
輝くところまでいきません。
続けて1500番、2000番、3000番まで
粒子を細かくしていきます。
磨いた面の様子を見ながら納得いく光沢が出たら終了です。

印材には四角いものばかりでなく
曲線のあるものや自然石に近い状態のものもあり、
こうした印材の場合、ヤスリの下に布を敷いて
曲線に対応しやすいようにします。
それなりに時間を掛けると光沢が出てきます。
思ったように光沢が出ないときは
ヤスリの番手を戻してやり直します。

いづれにしろ、せっせと手を掛けると
艶やかな光沢が生まれます。
磨き上げるには研磨剤を使う方法もありますが、
自分の手と耐水紙ヤスリと水だけで
「磨けば輝く」と実感できるのは
とても精神衛生に良いことです。
それに磨いている間に無心になれて
それも心を穏やかにしてくれる感じがします。

磨く前は赤い帯が気になる石
磨くとこんな感じで赤色が引き立っている


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