東と西の棒


私の村には東に一本西に一本の棒がはえている。
いつからはえているか分からないし、何のためのものかも分からない。こどもの頃の私は、触ってみたり、抜いてみようと友人と協力して引っ張ってみたりしたが、びくともしなかった。お父さんやお母さんにその棒のことを尋ねてみたこともあったが、その棒の存在すら知らずますます興味が惹かれていた。

しかし、成長するにつれその棒についての関心は薄れ、今では特になんとも思わない。そんな棒のことはすっかり忘れていた。

ある日村に大きな地震が起きた。凄まじい地鳴りが村全体に響き渡り、人々も立っているのがやっとな揺れだ。周囲がパニックになっている中、ふと私の視界に入ったのはあの棒だった。なにかがおかしい。昔見た時より棒の長さが伸びていて、揺れている今でもズズズッと地上に迫り上がっているように感じる。得体の知れない恐怖が自分の中にじわじわと広がっていく。揺れもより大きくなり、ついに立っていることさえできなくなった。
何かが這い上がってくるような音が聞こえる。そして、どこからか獣のような声が聞こえた。
ゴゴゴと一際大きな音がした直後ついに地面にひびが入り土埃を上げ、

黒々とした巨大な生物が姿を現した。
そうかあの二本の棒はもしかして…
気づいた時には村全体が真っ暗になった。

ごっくん

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