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バニラアイス

 エアコンが効いた部屋でバニラアイスを食べてみる。口に放り込まれたバニラアイスはキンキンに冷えた個体からとろりとした液体へと変貌を遂げる。バニラアイスの個体から液体への変わり様を楽しむ。この食感の変化が堪らない。匂いと味は甘すぎず大人な味が口内にぶわっと広がる。大人な味のバニラアイスの酔いしれる。
 幼い頃にも大人なバニラアイスを食べてみたことがある。幼い頃は口に放り込んだがすぐに吐き出した。経験したことがない味で一言で簡単に表現するならば「まずかった」。バニラアイスを吐き出した後も頭の中がふわふわ。頭の中が濃い霧に包まれた。あの日以降大人なバニラアイスを二度と食べるもんかと心に誓った。
 幼い頃を思い出し一人でクスクス笑う。また銀の匙で一口分すくい大人なバニラアイスを口に含む。幼い頃よりも成長した舌で心ゆくまで味わい尽くしたらお皿の中のバニラアイスが消えていた。
 

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