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死ぬまでにやりたいこと:③母とタヒチ旅行 

母はあまり外に出たがらない。特に飛行機に乗るのが嫌なのか、海外には絶対行きたくないとよく言う。ただ、タヒチだけは別物らしい。「海外に1ミリも興味ないけどタヒチだけは死ぬまでに行きたいな」そんなつぶやきを聞いた。これは絶対に連れて行かなければいけない、そう思った。

私が小さい頃から母は私のやりたいことを常にサポートしてくれていた。大学生になって国内外を旅行したいと言ったときも資金面でかなりお世話になった。「家のことは気にせず好きなことをやってほしい」と母はよく言う。その一方で、「そんなにやりたいことがあるのが羨ましい」とも。

母は人生の半分以上を子育てに費やしてきた。父は自営業で忙しくほとんど家にいなかった。だから家のことはほとんど母1人でやってきた。そしていつでも家族の要望を最優先してくれた。家族で出かけることがあっても私たち子どもが行きたいと言ったところに付いていくばかり。母が行きたいところを自分から言うことがほとんどない。

そのことに気がついたとき、とても申し訳なく思った。社会人になった今、私が好きなことをやらせてもらったように、今度は母に好きなことをやってもらいたいと。こちらから積極的に行きたいところはないのか、やりたいことはないのか、と聞くと「そんなしつこく聞かないで」「自分でも何がしたいのかわからない」「やりたいことなんかない」と怒ったこともある。

そんな母がついに自分から言ったのである。タヒチには行きたいと。それを聞けてどれだけ嬉しかったことか。母にもやりたいことが見つかったのだと。それならば今度は私が全力でサポートする番である。
タヒチは日本から12時間、飛行機嫌いの母にはなるべく快適に移動してほしい。もちろんビジネスクラスだ。そして水上バンガローのあるリゾートで心ゆくまで癒されて欲しい。タヒチには名だたる高級リゾートホテルが立ち並んでいる。日本⇆タヒチの直行便は週に2回しか出ていないことを考えると滞在期間は1週間。こうなるとこの旅行にも300万ほど必要になる。遅くとも7年後までには達成させる。5〜7年間は親孝行のためにがむしゃらに頑張るよ。

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