「矢島美容室 / ニホンノミカタ 　　　 ーネバダカラキマシター」　　　　 　　 ～日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.９１～

「矢島美容室 / ニホンノミカタ
　　　　ーネバダカラキマシター」　　　　
　　
　作詞：エンドウサツヲ
　作曲：DJ OZMA
　編曲：日比野裕史 & 荒木陽太郎
～日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.９１～


(動画URL：できれば再生しながら、お読み下さい)
https://www.youtube.com/watch?v=-tYi4cNhQZw

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　2008年リリース、デビュー・シングル。
　私が、ここでご紹介している曲は全部そうですが、この作品も、かなり音楽的に中身の詰まった、そして何より相当にカッコいい楽曲です。
　サウンド的には、もちろんソウルやディスコの影響が大きいのでしょうが、個人的には、ピンク・レディーの一連のヒット曲 (作編曲：都倉俊一) に通じる音楽語法を感じます (コミカルな風味も含めて)。
　

　
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・イントロ (６小節+２小節+８小節)　{Key = Gm}
　
　ソウルフルな女性コーラスと、少々の鍵盤で、しっとり尚且つ力強く聴かせる部分から一転して、オケの上行音型のキメが入り "ドカーン" と一気に爆発、"wow wow" というヴォーカルや、挿入されるセリフなど、まず、いきなりここで初めの山場が来ます。
　イントロ終わりの "シャバダ～" という女性コーラスも '70～'80年代の歌謡曲っぽくて、私的にはたまりません。　　
　

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・Aメロ　(８小節)　"遠くから 来ています～♪"　

　一旦盛り上がったイントロから、ここで少し音が整理 (減ら) されます。少し大きめのノリの、リズム・セクションのリフとその空間を埋める、細かな、青山純のハイハットの16分刻みが基盤になっています。

　メロディーの動きは「遠くから」「来ています」「NEVADAから」「来ています」というふうに、「ソーシ♭ーソーシ♭ーソ」の (２つの音のみ) 音型の４回繰り返しのみ、同じメロディーの中で、ハーモニーの付け方で変化を付けています。　

　
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・Bメロ　(８小節×２)　"パスポート～♪"　　

　Aメロは大きなノリでしたが、ここからベースはうねり、ギターは16分でカッティング、ストリングスの大きなフレーズ、ホーンの細かいフレーズ....etc、ここでまた盛り上がります。
　
　そしてもう一つ、この曲の特徴は、(イントロ、Aメロにも出てくる) "これでもか～！" という "オケのキメ" です。
　特にこのBメロ "驚きました～♪" 後の、２小節に渡る壮大なキメ (前半は細かい音符、後半は大きめの音符、というふうに変化を付けている)。そこにシロフォン (木琴) が入っているところにも、先に書いた、ピンク・レディーの楽曲との親和性を感じます。

　
　
　
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・サビⅠ　(８小節 )　　"だけど......～♪"　{Key = B♭}
　
　 ここまでの{Key = Gm} から平行調の{Key = B♭}へ転調。
　それまでの、シリアスで切迫感のある短調から、長調へと、これまでとはまた違う感じの、世界観の転換です。
　
　そして明るいだけでなく (逆に、"明るいから"、とも言えるのかもしれませんが)、この８小節はすごく切ないです。ここはあえて、ざっくり書きますが (というか、自分でも分析できずにいるのですが) 、ハーモニーや、メロディーや、各楽器のライン....etc、が合わさって、心臓を鷲掴みにされるような感じ、”切ない” などの名前も付けられないような感情で、ボロボロ涙が出てきます。
　私も、数えきれないほどの音楽を聴いてきましたが、こういうところはなかなか無いです、まさに音楽の神秘 (そして、それを聴いている、人間の感情の神秘) を感じる８小節です。
　

　
　
　
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・サビⅡ　(６小節+４小節 )　　　"この国に～♪"
　
　サビⅠの終わりに出てくる、メロディー最高音「ソ」から約１オクターブ音が下がり、また短調の{Key = Gm} に戻る事で、曲の締めに入ります。
　ストリングスの大きな刻みの音型が特徴的です。

　
　
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　＜参加ミュージシャン＞

・青山純　 (Drums)
・スティング宮本 (Bass)
・鈴木健治 (Guitar)
・上杉洋史 (Keyboards)
・浜口茂外也 (Percussion)
・北岡徹也 (Manipulator)

・村田陽一 (Trombone)
・西村浩二 (Trumpet)
・菅坂雅彦 (Trumpet)
・竹野昌邦 (Saxophone)

・弦一徹ストリングス
(Strings、2-2-2-2？)

・Olivia Burrell (Background Vocal)
・Tynice Hinton (Background Vocal)
・竹沢敦子 (Background Vocal)

・武部聡志 (Sound Supervisor)

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文中・敬称略