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ダンディ ☆105

noteを始める前は、映画の話も沢山書くつもりだったのだが、ちと難しい。

好きな作品を細かく描写するとネタバレになるから、そのさじ加減をどうしたものだろう。・・・

映画と言えば、私の世代だとやっぱり淀川長治の影響は大きいし、中学生の頃は和田誠の名著『お楽しみはこれからだ』をクラスの仲の良い友達が私に紹介してくれて、貸りて読んでいたのがとても懐かしい。

その頃沢田研二が「カサブランカ・ダンディ」を大ヒットさせていた。「ザ・ベストテン」で1位になって歌ってた、

>ボギー ボギー
> あんたの時代は良かった
>男がピカピカの気障でいられた

カサブランカ・ダンディ - 沢田研二

歌はすぐ好きになったが、ボギーなんて誰だか知らなかった、男がピカピカの気障とはどんな状態なのか分からなかったが、

和田誠のエッセイで映画『カサブランカ』の内容も、ハンフリー・ボガートの存在やカッコ良さも知るのであった。

「カサブランカ」名場面ベスト3


和田誠は文章も面白いし、あの特長のあるイラストが、なんとも味わい深くて、簡単に描けそうな線なのだが、実にユーモラスで面白い。

その友達は嵌って和田誠のマネしてイラストを模倣して描いていたから私は手を出さなかったが、いい所に目を付けたなと感心したものだ。

『お楽しみはこれからだ』はその後大ヒットし、多くの映画ファンに支持され、連載も長く続いた。

和田誠と言えば、映画『麻雀放浪記』は大好きな作品の1つである。

『麻雀放浪記』は原作阿佐田哲也でこちらも大好きだったので、和田誠が失敗するのではないかと危ぶんで恐る恐る観たが、凄く良い出来で驚いた。

配役がまた良い、

坊や哲の真田広之、ドサ健の鹿賀丈史、クラブのママの加賀まりこ、端役ながら男娼の内藤陳、どれも嵌っていたが、

なんと言っても出目徳の高品格が印象に残った。出目徳の最後は酷いのだが、哀れというよりも、博徒の最期としてこれが結局は至高の姿のような気もするのである。

あんな最期(急死して、身ぐるみ剥がされて捨てられる)に憧れさえ感じてしまうのは、和田誠が抱いた阿佐田哲也の世界に対しての憧憬なのだろうか?

或いは、ボギーのカッコ良さに痺れつつも、そのアンチテーゼだったのか?

最低の、ダンディズムの微塵もない、カッコ悪さの向こう側にある美しさを追求した結果なのだろうか。

『麻雀放浪記』(1984) 予告篇 [FHD]

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