見出し画像

史上最大の彗星の「核」の大きさの測定に成功


〇左から、ハッブル宇宙望遠鏡によるベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星の画像。コンピューターモデルによるそのコマの画像。これらから導き出されたその核の画像。(画像提供:NASA)

NASAによれば、マカオ科学技術大学のマン・トゥ・ホイさん率いる研究チームが、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データなどを使って、史上最大の彗星、ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星(Bernardinelli-Bernstein C/2014 UN271)の「核」の大きさの測定に成功したそうです。その大きさはなんと130kmほどにもなり、その重さは500兆tにもなると見積もられています。まさに史上最大の彗星です。

今回は、4月12日に公開されたNASAの記事を元にこのベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星の核の大きさの測定について詳しくお話していきたいと思います。

○ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星と他の彗星の核の大きさを比較した画像。(画像提供:NASA)

ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星は2010年に天文学者のペドロ・ベルナルディネッリさんとゲイリー・バーンスタインさんによって発見されました。現在、太陽から32億kmほどのところにあり、10km/sほどのスピードで太陽に向かって落下していて、2031年に太陽に最接近します。その公転周期は300万年にもなります。

では、研究チームはどのようにしてこのベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星の核の大きさを測定したのでしょうか?彗星の核はコマ(核の周囲に存在するガスやチリからなる領域)に囲まれているためにその大きさの測定はとても難しいのです。

研究チームは、まず、2022年1月にハッブル宇宙望遠鏡を使ってこの彗星ついて5枚の画像を撮りました。

しかし、あまりにも遠く離れているために、これらの画像だけでは、核とコマを区別することはできませんでした。そこで、研究チームは、コンピュータモデルを使って、コマの部分を差し引き、さらに、アルマ望遠鏡の観測データとも比較対照して、ついに、ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星の核の大きさの正確な測定に成功しました。

その大きさは差し渡し130kmほどにもなるといいます。これはよく知られている彗星達の核の大きさの50倍にもなるそうです。

また、その重さは500兆tにもなると見積られています。これは典型的な彗星の核の重さの10万倍にもなるそうです。

さらに、今回のハッブル宇宙望遠鏡による観測結果から、ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星の核の表面は石炭(coal)よりも黒いことが示唆されることも解りました。

ベルナーディネッリ・バーンスティーン彗星は太陽系の最も外側にあると考えられているオールトの雲からやってきたと考えられていますが、研究チームによれば、この彗星を研究することで、謎の多いオールトの雲について、総重量などその謎の解明につながる、さまざまな手がかりが得られるそうです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?