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呪術廻戦 渋谷事変について

渋谷事変をざっと読み返したが、とてもごちゃごちゃした印象だった。色々思う所があるので、少し書き留めておきたい。

まず最初にバトル漫画の長編系では、
おおよそ、序盤に個人対個人、もしくはチーム対チームの戦いがあり、味方全員が集結してからボスへと挑むというのが一般的な流れだが、渋谷事変ではとにかくどんでん返し的な展開の切り替えが多い。
読者側もどれだけついていけてるかが謎なくらいだ。

細かい展開整理は置いておいて、この回で作者がやりたかった事を大まかに推測してみる。

・主人公側がピンチになるような(読者が見てハラハラ、絶望するような)展開にして今後いよいよ呪霊との全面戦争が始まるというシリアス展開に持っていく。(序承転結の序の終わり)
→夏油が五條悟を封印し、真人の能力を得て、目的の次の段階へ進む

・これから障壁になるヤベー奴らの強さや残酷さを読者に印象づける(読者的に絶対に倒さないと気がすまない、でも強い)
→宿儺の暴れっぷり、夏油が終盤で見せた能力

・色んな人が死ぬことで主人公の戦う意義みたいなのを一旦揺らがせる(闇堕ち的に近い)、作者的には今後これを乗り越えさせたい
→宿儺を飲み込んだせいで、取り込まれ、東京の首都圏が壊滅する事態を自分がやってしまった後悔。七海、釘崎など身近な人が悲惨な状況に陥って追い込まれる

・敵味方含めて色んなキャラの背景や繋がりを見せたり、出しておきたいキャラを出したり、できる伏線は回収する
→張曹と主人公の繋がり、伏黒父と伏黒のやりとり、禅院家当主の登場、夏油の人間サイドの味方、冥冥、九十九、家入とか味方の超強い奴らの登場とか

・因縁の強敵との決着で序盤の話を一区切り
→真人vs東堂・虎杖

そして、これらを順序よく並べてるというよりは所々織り交ぜたり、ある戦いから急展開させたりと話のつながりを複雑にしている。例えば、虎杖が張曹との戦いで瀕死になったと思えば、陀艮戦で突如現れた伏黒父に救われた七海・真紀・直毘人が漏瑚からやられ、その流れのまま漏瑚から指を飲ませられ宿儺として覚醒する展開に繋げたり、
伏黒が呼び起こした摩虎羅を覚醒した宿儺が倒したりと一つの戦闘と他の戦闘を繋げる話が多い。

その中で、軽い戦闘を入れたり、(ジジイ戦)読者が読んでいてイラつくような雑魚キャラが場を乱しつつ最後に死んだり、話の要所要所で感動的な場面を入れたり、読者側が小休止できる場面も取り込んでいる。

ただ総じて結構読むエネルギーは必要で、読み終わった後になんかやばいことになったのは分かるけどどうしてこうなった感は否めない。
終わり方もこれからやばい展開になっていくオチでスッキリしないので読後感は疲労感の方が強い。
もう少し真人との決着をスッキリさせて、読者に読後の余韻的なものを与えても良かったんではないかという気がしないでもない。

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