最近読んだ本
めっきり暑くなり外に出るのが憚られる季節がやってきました。
そんな夏は勝手に読書の夏だと思っています。
凪良ゆうさんの「流浪の月」。皿に乗った三つのアイスクリームとテーブルに落ちている二つと皿の上の一つのイチゴ。
皿に乗ることを諦めたのか、それともスプーンを使うこと自体諦めたのか何かしらの諦念が感じられる妙に艶やかなカバー写真。
更紗と文の関係性は二人にとっては全く違うもので、それは触れることもしない真反対のものだったのでしょう。
多様性などが叫ばれる昨今において誰しもが必ず持つ普通への願望。それらを巧みに転がしながら蟻地獄のような天国を見せてくれます。
凪良さんの作品は初めて読んだのですが固形物の描写が非常に繊細で的確だと感じました。
そしてそんな物や映画を通じて心を通わせていく更紗と文は読者にはごくごく普通の男女に映ります。
ある種の純文学性も担保しつつ、蓋を開けば本屋大賞納得の読みやすさの両立。
読書ちょっと挑戦してみたいなんて人にもおすすめできる作品ですのでもし読んだことなければ是非!
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