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最近読んだ本
めっきり暑くなり外に出るのが憚られる季節がやってきました。
そんな夏は勝手に読書の夏だと思っています。
凪良ゆうさんの「流浪の月」。皿に乗った三つのアイスクリームとテーブルに落ちている二つと皿の上の一つのイチゴ。
皿に乗ることを諦めたのか、それともスプーンを使うこと自体諦めたのか何かしらの諦念が感じられる妙に艶やかなカバー写真。
最初にお父さんがいなくなって、次にお母さんもいなくなって、わたしの幸福な日々は終わりを告げた。すこしずつ心が死んでいくわたしに居場所をくれたのが文だった。それがどのような結末を迎えるかも知らないままに――。だから十五年の時を経て彼と再会を果たし、わたしは再び願った。この願いを、きっと誰もが認めないだろう。周囲のひとびとの善意を打ち捨て、あるいは大切なひとさえも傷付けることになるかもしれない。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。本屋大賞受賞作。
解説=吉田大助
更紗と文の関係性は二人にとっては全く違うもので、それは触れることもしない真反対のものだったのでしょう。
多様性などが叫ばれる昨今において誰しもが必ず持つ普通への願望。それらを巧みに転がしながら蟻地獄のような天国を見せてくれます。
凪良さんの作品は初めて読んだのですが固形物の描写が非常に繊細で的確だと感じました。
そしてそんな物や映画を通じて心を通わせていく更紗と文は読者にはごくごく普通の男女に映ります。
ある種の純文学性も担保しつつ、蓋を開けば本屋大賞納得の読みやすさの両立。
読書ちょっと挑戦してみたいなんて人にもおすすめできる作品ですのでもし読んだことなければ是非!
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