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本を開けば千早あかね

千早あかねさん。つい最近新作「しろがねの葉」を刊行され、今をときめく作家の1人というのは疑いようがないでしょう。そんな千早さんの作品は一回紹介するほどハマっていました。

しかし。しかしデビュー作を読んでいないことに気づきました。そんなわけで書店に直行。ありました。

魚神 (うおがみ)

目を引く表紙のデザインは少し刺々しく、生々しさが匂う。読み終わると他の作品にも通ずる部分が多くありました。ではいつものようにダラダラと書き連ねたいと思います。

かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。

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まずかんし感じたことは「あれ、この本ベテラン作家が書いたのかな?」でした。表紙通りのもの寂しい世界観にセンセーショナルなテーマ。しかし人間のすっぴんのような部分がしっかりとそこにあり、その後の作品に通ずる部分は多くあります。

もう一つ特徴的だと感じたのは姉弟・白亜とスケキヨの会話が少ないということです。以心伝心というよりはむしろ、確かめるのが怖くて拒絶している演出が素晴らしい。それであって情景や行動、他の登場人物との会話で思いは見えてくる。ほとんどベテランの純文学小説家がやりそうなことをデビュー作でやってのけます笑

個人的に千早あかねさんを読んどことあるけど魚神は読んだことない。そんな人にお勧めします!!

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