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こうの史代著「夕凪の街 桜の国 」を読んで(2024/08/08)


  「夕凪の街 桜の国 」と聞いて「?」となる人でも、「この世界の片隅に」は多くの方がご存知ではないでしょうか。

 「この世界の片隅に」は、映画化、ドラマ化されて有名な作品ですが、私は未視聴です。広島を舞台にした戦時中の物語らしい・・・ということだけしか知りません。しかし、原作の漫画の画風が可愛らしいなというイメージは持ってました。その、「この世界の片隅に」の原作者であるこうの史代氏の漫画作品、「夕凪の街 桜の国 」を、電子書籍で先ほど買って、読みました。



 私自身は、過去のnoteで何度か触れていますが、小学校中学年くらいのころに、「戦争」「原爆」といった史実と衝撃的な向き合い方をしてしまったため、トラウマを持っています。また、共感力も非常に強いため、当時はかなり苦しみました。

 自分が小学生の頃は、8月になると、今よりも戦争関連の特集がテレビなどで頻繁に取り上げられて記憶があります。また、小学生当時は、「小学〇年生」といった雑誌を読んでいた記憶があるのですが、その雑誌の付録についていた「アンネの日記」を簡略化した漫画を読んだのも夏だった記憶があります。これも、読む前はどんな内容だったのか全く知らずに読み始めてしまったため、読み終えたとき、つらくて衝撃でした。

 そのような経緯から、夏になると、なんだか戦争と向き合わなければならないような気持が潜在的に沸き起こっている気がしてきます。「この世界の片隅に」は、戦時中のお話のようなので、今でも読むことに躊躇しているのですが、たまたま「夕凪の街 桜の国 」の存在を知り、「ヒロシマのその後」の模様を描いているとのことで、買って読んでみました。
(※タイミング的に、kindle価格が330円だったということもありました。)

 可愛らしいタッチの画風でありながら、主人公たちが向き合う過酷さや残酷さが対比され、際立ったようにも感じました。絵の描写そのものが恐ろしいものを描いたシーンは少ないですが(全くない、とは言えません)、「あの日の出来事」が過去となった時点でも、「普通に」暮らしているような人々の中に、暗く重いものが圧し掛かっている現実という視点で物語が進んでいます。

 著者のこうのさんは広島出身ではあるものの、被爆者でも二世でもなく、あの日の惨禍を「遠い過去の悲劇」として捉えており、恐怖もあったり、踏み込んではいけない領域と以前は考えていたようです。しかし、いろいろな葛藤を経て、これらの作品を紡ぐに至ったとのことですが、細かな経緯は「あとがき」で述べられており、この「あとがき」を読んでも私は心を揺さぶられました。Kindleの期間限定価格330円がいつまでか分かりませんが、もし少しでも興味を持たれた方は、このタイミングで読まれてみてはいかがでしょうか。(アフィリエイトではありません。)

 


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