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消えた仕事〜キヨスク販売員〜(2024/01/29)

 AIなどIT技術の革新により、既に消滅していった仕事や、働き方が大きく変わった職種はたくさんあると思います。

 今日は、ふと思い出したキヨスクの販売員さんについて書いてみます。

 私は高校入学してから会社員辞めるまでの約20年、割と長距離の電車通学・通勤生活を送ってきました。

 自分が高校生だった1990年代後半、地元駅構内にはコンビニはなく、ホームや改札付近の「キヨスク」が主流でした。

 この当時のキヨスクの特徴として、商品バーコードの読み取りはせず、商品の単価を販売員が記憶しており、当時は現金決済しかできなかったためほぼ暗算で素早くおつりを渡していたのです。

 時代的に、一般の小売店ではレジでバーコード読み取りが主流でしたが、なぜかキヨスクでは導入されていませんでした。

我々が購入したい商品を手に取り、販売員さんの前に差し出すと…

①暗記済みの商品単価を客に伝える

②商品が2つ以上の場合は素早く合計金額を暗算して伝える

③客から受け取った金額からおつりを素早く暗算

④おつり分の小銭を素早く手に取り客に渡す

この一連の動作を、実に熟練技のように滑らかに行うわけです。そのピリ付いた空気感に多少萎縮して購入をためらったときもありましたが、彼女(主に女性だった)達の技は本当にすごく、一朝一夕で出来るものではないと、高校生ながらに思ってました。

憶測ですが、これだけの技が必要なので、当時の他の小売店のパート・アルバイトより、時給は高かったのではないかと思います。

 ここで急に気になったのですが、昔は「キスク」って言ってた気がするのですが、いつのまにか「キスク」って呼ぶようになった気がします。少し調べてみたところ、東日本エリアでは2007年から「キスク」から「キスク」に称号変更したそうです。

 また、販売員に女性が多かったのは、もともとキヨスクの発祥が戦前に鉄道事故などで一家の働き手を失ってしまった遺族に働き口を確保する目的で開かれた売店であったことにもあるかもしれません。

 当時の彼女たちは、ある意味、「唯一無二」に近い、熟練技の職種だったと思います。それらは、上述したキヨスクの歴史の名残で、あえてバーコードを取り入れてなかったのかもしれないと考えてしまいました。(実際のところの理由を調べてみたのですが、私の検索能力ではそれらしい情報にたどりつけませんでした。。)

 いつの間にかホーム上の売店でもバーコード読み取りが普及してゆき、熟練技の販売員さん達の姿も見なくなっていきました。
 おそらくご本人達は誇りとプライドを持ってこのお仕事に取り組まれていたと察しますが、なんだか急に切なくなりました。

 この記事をご覧の方で、「あー、そのキヨスクの形態、分かる」って方、いらっしゃいますか?

 なんだか急にノスタルジーを感じて書いてみました。今は存在してるけど、20年後にノスタルジーを感じる消滅職種が他にも出てくるんだろうなぁ。

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