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死神の精度を読んだ

パラパラと読み進められる評判通りの名著でした。死神の人間らしさに惹かれながら、その仕事ぶりを見守る。

最初の対象者は地味目の女性。何かに触発されて迷走し始めた時はついつい自分と重ねてしまい、ハラハラしてしまった。自分も死期を意識した時にとんでもない選択をしてしまうのではないか。しかしもしかしするとその選択は悪くないのかもしれない。伊坂先生ならではの結末に考えさせられた。

次の対象者はヤクザ。憎めない登場人物たち。しかしあまりにも死が近すぎる。どう物語は転ぶんだろうと不思議に思っていたが、見事に転がった。

3作品目はまさかの密室殺人。推理に挑む死神という構図がシュール過ぎてそれだけでずるい。

4作目はまさかの恋愛もの。といっても、怪しい匂いがぷんぷんする。

そして終盤、短絡的な若者との旅路と、老女との静かな時間。

それぞれに普通だけど個性的な登場人物達が死神の前を通り過ぎていく。その日常や特別な思いを死神の目を通して体験する。最後に張られた仕掛けに感嘆しつつ、爽快感と充実感の混ざった読後感が心地良い。

お勧めの一冊でした。

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