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還暦からの底力

還暦からの底力を発揮する上で重要なポイントは、色眼鏡(価値観や人生観)を外してできるだけフラットに周囲の物事を見ること。「数字・ファクト・ロジック」でエピソードでなく、エビデンスで(証拠)で世界を見ること。

年齢に意味はない。

人間は動物だから、何歳まで働くと決めておくのはナンセンス。
動物と同じように朝起きて元気だったら仕事に行けばいいし、しんどくなったら辞めればいいだけの話。


高齢者が生きているのは次の世代のため。
ホモサピエンスの歴史の中で、高齢化はその知識や経験が群全体の生存に役立つだけでなく、狩りや採集に出払っている間は赤ちゃんの面倒を見るなど、次世代の育成に役立ってきた。

われわれ老人は子育てを支援し、若者が子供を作りたくなる環境を整備する。
自立した生活をして老化を遅らせ、必要になれば互いに介護につとめ、医療費・介護費を少なくし、できるだけ次世代の足を引っ張らないようにする。

生物学者本川達雄氏

高齢化は次世代のために働くことに意味があり、次世代を健全に育成するために生かされている。

船が沈没する際に脱出する順は子供、女性、男性、高齢者。
なぜなら、その順番にしないと群れが死滅するから。

敬老の日はなくすべき。
敬老という言葉自体が若者が高齢者の面倒を見るのが当たり前という歪んだ考え方につながり、社会を歪めている。

自然界をみると若い個体が老いた個体を面倒見ている動物はいない。
自然界の摂理でないから。
ヤングサポーティングオールドは高度成長の日本のような若者が圧倒的に多い社会の特徴にすぎない。

ヨーロッパではオールサポーティングオール。
年齢に関係なく応分の負担をし、シングルマザーなど本当に困っている人に給付を集中しようという考え。

働いている人も働いていない人もみんなで社会を支えるのであれば、消費税にシフトするしかない。
今後は消費税とマイナンバー(所得や資産の把握)で回す社会にしなければならない。

間違った学者が言う、年金が破綻するということなどあり得ない。
年金は政府がお金を集めて再分配している仕組みなので、政府が潰れなければ年金制度が破綻することなどない。
将来の年金額はその社会が成長するか否かにかかっている。

年金保険料について働いている間は保険料を納め、働けなくなったら年金給付を受けるという姿が理想でしょう。

松坂大輔投手が2018年中日ドラゴンズに1500万円の年俸で入団したように、働くということは昔何をやっていたか、できたかは関係なく、現在の能力、意欲、体力に応じてそれに相応しい仕事をするのが世界の常識。
昔は大会社の役員だった、昔の部下に使われたくないなどと不満を漏らす、歪んだ精神はなくすべき。

子供が巣立って親として責任を果たしたらすぐに生命保険を解約し、自分の好きなようにお金を使う。
構造的に労働力不足社会なのだから、年齢に関係なく意欲・体力・能力があれば誰でも働ける。

世界に目を向けるとアメリカやイギリスをはじめ、ほとんどの国では定年がない。
人間が大人になるということは、自分の食い扶持は自分で得るということだから。
人間は一生働くのが自然の姿であり、働き続けることによってのみ健康寿命も延びる。

健康寿命を延ばすには、働くことが一番。

日本がやるべきことは定年の即刻廃止。
労働力不足の日本では定年を廃止して困る人はいない。
メリット
①健康寿命が延びて介護が減る
②医療・年金財政は貰う方から支払う方へシフトし、好転
③年功序列から業績序列にシフトが期待(年功序列だと行き詰まる)
④労働意欲が高まる

厚生年金は被用者(雇われている人)なので、平均約20万円。
国民年金は5〜6万、自営なので他に収入はあるから。
パート・アルバイトという立場の弱い被用者人こそ、厚生年金で守られるべきなのにそうなっていない。
厚生年金を適用拡大すべきで、そうすることで老後の貧困を解決できる。
これが実行できないのは中小企業の経営者が社会保険料を支払ったら商売が成り立たないと反対するから。
ドイツの例でみれば、パート・アルバイトは事業主が7〜8割負担し、正社員は事業主と5:5とするなど傾斜をつければ良い。

所得税の配偶者控除控除と第3号被保険者(会社員や公務員の妻は保険料を配偶者の職場の負担で老後に国民年金を受け取れる)は戦後の日本が男性は仕事、女性は家庭という性分業を推進するために設けた制度で、女性の社会進出を阻む大きな壁となっている。

日本経済が弱くなった理由。
人口減少(生産年齢を65歳から75歳まで拡大すると人口はそれほど減少していない)でもデフレ(新しい産業が生まれず、経済が活性化、成長しなかった結果で、原因ではない)でもない。
ユニコーン企業(評価額が10億ドル以上のベンチャー企業)が生まれなかったことが原因。
ユニコーン企業を生むキーワードは女性・ダイバーシティ・高学歴の3つ。
女性について、現在の世界はサービス産業が引っ張っているがそのユーザーは世界的に見ると女性が6〜7割で、需給ギャップが大きい。
ダイバーシティはラグビー日本と同じで混成せず、日本人の男性だけで戦っているようなもの。
高学歴については、日本の大学進学率は先進国の中では低いという他、企業の採用でもアルバイト経験を問うなど、成績を軽視していること。
グローバル企業ではたとえハーバードでも成績が真ん中以下の人は、採用しても手を抜くのはわかっているから、雇わないし、一方どこの大学出身であろうと成績が全優であれば、自分が選んだ職場で優れたパフォーマンスを発揮する蓋然性が高いと判断する。
テーマを深く掘り下げ学んだ経験のある大学院生を積極的に採用しないのも日本企業の傾向で、馬鹿な話。

日本を低学歴化しているのは、大学への進学率が低い、大学に行っても勉強しない、大学院生を大事にしない、社会人になったら勉強する時間がないという仕組み。
この仕組みは製造業の工場モデルにはピッタリだった。
特性として素直で我慢強く、協調性があり、空気が読めて、上司の言うことを聞く人。

「風呂・飯・寝る」の低学歴社会から「人・本・旅」(たくさんの人に会い、たくさん本を読み、色々なところに出掛けて刺激を受ける)の高学歴社会へ切り替える。

変化が激しく見通しが立てにくい世界で必要なのは、物事を根底から捉える探究力。
大事なことは何が起こっても自分の頭で物事を根底から考え、自分の言葉で意見を言える能力。

グローバル企業で転勤するのは希望者と経営者だけ。日本企業の人事がいうように転勤したくないというわがままな社員が増えていて困っているというのはあり得ない話。

終身雇用を前提とした、企業が色々な事業所を経験させておいた方がいいだろうという漠然とした考えは古く、それより専門性を磨いたほうがはるかに役に立つ。

人生100年時代と考えると60歳は折り返し地点、60歳になったから人生も終わりに近いと思っている人は、定年制という歪んだ考え方に毒されている。

極論すれば人間は脳であり、せめてこれだけのことはやり切らなければ死んでも死にきれないと思えば脳が指令を出して体を元気にする。

病は気からは現代科学でも実証されている。
一番よく効く薬の薬効の半分近くがプラシーボ効果。

著者は健康診断と最小限の検査しか受けない。古希を超えたのであとは神様次第と心底思っている。
人間は動物なので病気になって回復しなければ死ぬのが自然。そんなことを心配しても仕方がない。むしろ要らぬことを心配するから病気になる。

人生で大切なのは何といってもパートナーや気のおけない友人と過ごす時間、自分が好きなことをする時間。
著者が日常で好きなことは食べる、本を読む、眠るの3つ。

同じ時間を拘束されるのであれば楽しく仕事に取り組まなければアホらしい。怖い顔をしていても楽しくはありません。
どこであれ元気で明るく楽しく仕事をするのがモットーで、それが健康につながっているのかも。

今生きている人で訳のわからない話をする人には2通りある。
物事の本質を理解していないか、ある程度理解はしているが格好をつけるためにわざと難しい言葉をつかっているかどちらかで、どちらにしてもろくなもんじゃない。

政治学者高坂氏


★★★
著者はわかりやすいことに最大の価値を置く。
やはり物事はシンプルに捉えた方がいい。
人間そのものがシンプルにできているから。

著者も腹落ちすればやる気が出るし、腹落ちしない仕事はまったくやる気が出ない。

人間みなチョボチョボや。
※チョボチョボとはみんなそこそこ恰好つけているけど、一皮剥いたら人間みな同じでアホばかり。
著者自身いい加減で達観しているわけではないと言い、それが人間のファクトだとも。

日本は戦後、製造業の工場モデルが規範として形成される中で同調圧力が異常に高い同質社会になってしまったので、おそらくみんなが面従腹背の能力を自然と身につけた。
口では組織を信頼すると言うが、腹の中では全然信頼していない。飲み屋で悪口を言い合うのが良い証拠。日本人は真面目だと言うのは幻想。
欧米では経営層に求められる資質は正直であるであるが(情報公開の徹底、正直な上司でないとついてこない)、日本では正直さは低く、誤魔化した方が企業のためになると考えでさえいる。日本人が真面目であるとの見方はかなり怪しい。

つまらない仕事が楽しくできる能力も生きる力の一つ。それこそが楽しく仕事をするコツ。

戦後日本の工場モデルは、我慢強い人を一生懸命育てた。

人生を無駄にする3つの考え、
①愚痴を言う
②他人を妬む
③誰かに評してほしいと願う
※①たら、ればを述べても時間の無駄。
 ②適材適所。リーダーは育てられない、人それぞれ個性があり、企業はその資質がある人を見つけ出すこと。もちろん貴賤はない。
 ③他人に何を言われようと、天知る、地知る、我知る、地知るで、天も地も見ているし、何より自分が見ているのだから、人に評価されたい気持ちなどは捨てて、自分がいいと思ったことに全力で取り組めばいい。

ちきりん

仕事が生き甲斐もという考えも自分自身をなくす。
フルタイムの1年間の労働時間は2000時間。対して、1年間は8760時間。
労働時間は2割強。
その時間よりも人間の幸福にとって大事なことは、食べて寝て遊んで子供を育て、好きな所へ行き、言いたいことを言えること。
では誰と食べ誰と遊ぶのか、つめりパートナーや友人が人生では一番大切。

テクノロジーの急速な発展が所得の二極化を引き起こしているというが、どんな時代でも頑張る人は頑張り、サボる人はサボるので二極化は生じる。お金儲けでも、スポーツでも、できるグループとそうでないグループができるのは自然な現象。
弥生時代にも二極化はあったと言われている。
二極化が問題になるのは、政府の再分配機能が上手く働いていないから。
したがって二極化問題の本質的な解決には良い政府を作って、再分配を適切に行うこと。
二極化はけしからんと思うなら、みんなで選挙に行って良い政府を作る努力をすることが唯一の解。

いま老後の孤独がテーマにされるが、ファクトを直視すれば、人間は1人で生まれ、1人で死んでいく。
つまり、人間が孤独なのが本来の姿であり、それは人間のみならず動物の本性。

老後の孤独を招いているのは、一括採用、終身雇用、年功序列、定年という高度経済成長期の人口増加を前提としたガラパゴス的なワンセットの労働慣行。
この仕組みの中で、飯・風呂・寝るの生活に陥り、60歳になった途端明日から来なくていいですよと言われたら何をしたらいいかわからなくなるのは当然。
人・本・旅の生活を続けていれば、趣味も職場以外の友人もたくさん見つけるチャンスがあり、このライフスタイルを定着させることが老後の孤独をなくすことにつながる。

死について、必ずやってくる未来に思い悩んでも仕方がない。

地球上の生命の歴史は約40億年、ホモサピエンスが生まれたのは20万年程前、あと10億年で地球上の生命の歴史が終わることもわかっている。(太陽が膨張し、地球の水が失われる。人間なくして地球は始まり、人間なくして地球は終わる。by仏社会学者ストロースの述べた通り。)

人間は何のために生きるのか、動物である人間は次の世代のために生きているに決まっている。

次の世代のためにできること、それは世界を良くしていく取り組み。
今自分がいるポジションで今自分ができることを少しずつ取り組んでいく。

こうした生き方こそが、結果として生きがいややりがいにつながっていく。
言い方を変えれば人間は自分が好きなように生きればいい。次の世代のために生きていることを理解した上で、それぞれが好きなことをした上で一生懸命生きればそれでいい。

直観とは、今までの人生で積み上げたデータをフルに使って脳が判断した結果だからこれ以上に正しいものはない。
時間がない時は直観で受け答えするしかない。

著者はイエスノーゲームでは基本的に面白そうな方向を選ぶ。
よくわかっていることとわからないことであれば、わからない方へ行く。
そちらの方がなんとなく面白そうだから。
著者はわからないことを面白いと思うタイプ。人に誘われれば必ず足を運ぶ。

運はアトランダムにやってきて、そこに個人の適応がうまくミートした時にチャンスが生まれる。
適当な時に適当な場所にいるのが運、走って大きな口を開けることが適応。(たなぼたの例から)
何らかのチャンスを得たいと思うなら、家にこもっていても仕方ない。どんどん外に、広い世界に出ていくしかない。

著者は年齢に価値を感じておらず、年功序列という考え方にもほとんど興味がない。
基準は面白い人がどうか、自分に刺激を与えてくれる人を求める。

自分にアクセスしてくる人は、自分のことを面白いと思ってくれているから、ありがたいと思って受け入れる。
自分から去る人は、その人にとって自分は魅力がないのだから追いかけても仕方がない。

人脈の作り方といった本を読むのは全く意味がない。
その人と一緒にいると面白かったり楽しかったりすると人は自ずと寄ってくる。

嫌なら仕事をチェンジするのと同様に、パートナーもチェンジすればいい。
それが人間本来の姿。既に欧米の先進国ではそうなっている。

家族との付き合い方、人間として相手と誠実に向き合う。
様々な人たちとの付き合いや出会いも同じ。
ほとんどの人たちとは一生に一度の邂逅で、一所懸命取り組まないと申し訳ない。
一期一会と思えば自ずと身体が引き締まる。

介護問題については、育児についても個人や家族でなく、社会が面倒を見るべき。

1番の親孝行は親に楽をさせないこと。ある医師は、一番ボケるケースは実の子供が、今まで苦労をかけたね、あとは私が面倒を見るから何もしなくていいよ、といった時脳が安心してボケていく、言う。

おじいちゃん、おばあちゃんに預けると喜ばれず、疲れると言われます、どうすれば良いか、の答えはもっと預けて疲れさせろ。
どんどん負荷を与えないと老いていく。
年老いた親への1番の親孝行は適切な仕事を探すこと。職業的な仕事でも、家事でも、育児でも。頭と手を使うよう仕向けなさい。
一方子供については18歳を超えたら、家から追い出しなさい。それが動物としての本来のやり方。

子供と親は別人格の存在で、親が持っているのは名前をつける権利だけ。
したがって、親が子供に遺すべきものなど何もない。
自分で稼いだお金は生きているうち全部、自分のために使う。
今子育てに四苦八苦している娘(息子)がいるなら、どんどん生前贈与せよ。

老後のお金に不安を持つのは、定年があり、社会保障が崩れると思っているから。
これと対極なのが北欧であまり、貯金をせず自分のお金は生きている間に使う。定年がなく、社会保障がしっかりとしているから。

公的年金が崩壊することはない。
その理由は、その仕組みが市民から年金保険料を集めて要件を満たした市民に配っているから。

女性の地位向上のための施作は、性分業のベースとなっている配偶者控除と第3号被保険者の廃止、クオータ制(男女比の偏りがないよう義務付けること)の実質。

Googleは人事部の必須データから国籍性別、年齢、顔写真をなくしている。
その人の過去のキャリアと現在の仕事、将来何をしたいかだけで判断する。

高度成長期は工場モデルが機能した。工場は24時間操業が理想だから、筋力の強い男性が適していた。だから、男は仕事、女は家庭の性分業を推進した。その背景には明治期の家父長制も。
日本は令和になった今も製造業の工場モデルに固執し続けているので、国際的な競争力を失っている。

年齢を重ねていくともう歳だからできないと出不精になりがちだが、それは年齢のせいでなくそうした思い込みが原因。

ディファクトスタンダード(事実上の標準)。
英語もスーツやネクタイと一緒。スタンダードになってしまったのだから、諦めて勉強するしかない。
ビジネスは限定された内容、旅行はお金を落とす営為なので地元の人が忖度してくるので恐るるに足らないが、日常会話で英語が必要な場合はしっかり勉強するしかない。

英語もどんな勉強もかけた時間がものを言う。なんにせよ、よくできる人は、自分。ごまかしてやる気にさせる仕掛けづくりが上手。

人・本・旅(色々な人に会い、本を読み、場所に行き刺激を受ける)でインプットし、タテヨコ算数(タテは時間軸・歴史軸、ヨコは空間軸・世界軸、算数はデータでものをとらえることで、数字・ファクト・ロジックとも)で整理して全体像をつかむ。

リアリズムが何よりも重要で、エビデンスたる得る数字とファクトを拠り所としたロジックを積み上げていくことが重要で、確たる根拠のない社会常識を前提に都合のいいロジックを展開してはいけない。

郷に入ったら郷に従え、ローマに行ったらローマ人に従え。
新しい世界を知るには関係法令を勉強して、その立て付けを把握する。
それに加えて、APU学長就任にあたっては大学の総長や学長を務める方にお会いして、教えを乞う。

72のルール
72÷利率が元本が倍になる年数
例)72÷7(中国の成長7%)≒10(約10年で倍増)

大学の先生はテニュア(終身在職権)としての身分保証により長期的な研究に取り組めるというメリットがある。

教育の目的は生きるための武器を身につけることと、考える力を身につけること。
産業革命前の教育は師匠と弟子のマンツーマン(多くて複数)か貴族でもマンツーマン。
産業革命後は大量で均質な労働力が必要になったので、現在のスクールの原型ができた。

人は何のために勉強するのか?
専門のことであろうとなかろうと、要するに物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。たったそれだけのこと。そのために勉強する。

科学史家 山本義隆

考える葦として人間の成長に完成も終わりもないから、大人になっても一生勉強し続ける必要がある。

おいしいご飯を因数分解すると色々な食材を集めることと上手に料理すること。
おいしい人生を因数分解すると、食材は知識であり、料理する力は考える力である。
つまり、教養=知識×考える力

世の中の変化がどんどん早くなると、学んで働いて、また学んで働いてを繰り返していかないとどんどん獲得した知識が役に立たなくなってしまう。
生涯にわたり教育と労働を繰り返していくシステムであるリカレント教育が注目を集めているのはこういう背景。


学ぶのは若者だけという思い込みは、学びに支障をきたす。やはり社会に出て働いている人をはじめとして年齢も国籍も性別も多様性があるほど学びには都合がいい。

面白いことを始めようと思ったら多様な人を集めた方がいい。
地域おこしなら、若者、ばか者、よそ者を呼んでこないといけない。
地域の人は地元のことを知りすぎているため面白い発想は出てこないが、よそ者はその地域を知らないから面白い発想が出てくる。バカ者はばか、若者は経験がないから、突飛な面白い発想が出てくる。


江戸時代は人々の移動を禁止していたので、通婚も隣村くらいで、血が濃くなり、日本の長い歴史の中で、日本人の身長と体重が一番小さくなった。

政治の基本はそこに暮らしている人たちに腹いっぱいにご飯を食べさせることだから、餓死者を大量に出し、日本人の身長・体重を一番小さくした江戸時代は史上最低の政権である。

大久保利通のライバルが西郷隆盛。
西郷は永久革命論者でその点で毛沢東に似ている。
大久保は鄧小平のような実務家。大久保の後継は伊藤博文という第二の鄧小平。

基礎的な教養の根本が得られる6冊。
国民国家、世界の構造と結びつき、公とマーケット、民主主義、生命の進化の歴史。
①想像の共同体(ベネディクト・アンダーソン)
②近代世界システム(ウォーラーステイン)
③富国論(アダム・スミス)
④道徳感情論(アダム・スミス)
⑤統治二論(ジョン・ロック)
⑥種の起源(ダーウィン)

人間観には、人間はしっかり勉強すれば賢人になれるという人間観と、人間は勉強したところで所詮アホな存在である、という2種類がある。著者はに人間はそれほど賢くないという、保守主義の人間観。

保守主義の父エドマンド・バークはフランス革命が勃発した翌年、フランス革命を徹底的に批判。その論拠の一つが「人間とはそもそも愚かな存在である。その愚かな人間が頭だけで考えたことなど上手くいくはずがない。」


保守主義は仮置きする思想。賢くない人間には何が正しいかなど永遠にわからないのだから、うまく回っている物事については正しいと仮置きして放っておく。

脳の構造からみても、脳の全活動の9割以上は無意識の領域。意識できるのは1割程度。つまり、理性は脳みその1割部部によって生み出された幻想なので、やはり理性をあまり信じない方がいい。
人間の頭は大したことがないので、長く続いた伝統や習慣はできるだけ大事にした方がいい。

歴史は個々の出来事を単体で考えるのではなく、俯瞰的に捉えなければならない。
例えば、ペリーが来航した理由は中国市場をめぐる米英貿易戦争を背景としたアメリカの国益のため。

歴史を振り返れば悲観論は全敗している。これは劇的な科学や技術の進歩を、人間のあまり賢くない脳では想像できなかったから。


2015年から2065年では3割の人口減。(1.2億→8000万人)

人口減少の1番の原因は出生率の低さ。
低い理由は、男女差別で、女性が育児・家事・介護全て担っている。こんなにふたんを押し付けられて誰が多くの子供を産みたいと思うか。

男性が育児・家事・介護を手伝うという発想自体が本来女性が担うものだと言う偏見の上に立脚している。この思い込みが男女格差の根源。

男女差別をなくすにはクオータ制の導入が一番。

男女差別をなくし、出生率をあげる。
これに反論するのは移民の受け入れの方が良いということだが、移民を受け入れても男女差別がある社会では、移民も子供を産まないので、男女差別にメスを入れるしかない。

人間の他の動物に比べての2つの宿命。
一つは脳の発達、もう一つは二足歩行。
脳が大きく、二足歩行で骨盤が小さくなった人間は赤ちゃんが母親の産道を通ることが難しくなった。この問題のクリアには、赤ちゃんがまだ大きくないうちに産むしかない。
多くの動物の赤ちゃんは生まれてからすぐ歩けるようになるが、人間の赤ちゃんは未熟児スレスレで産まれてくる。早産でリスクが高いのは、正常分娩でも未熟児スレスレであるから。
産まれた直後、お母さんにはオキシトシンという優しさや幸せホルモンが大量に分泌される。これが母性愛の正体。
男性も最低1〜2ヶ月赤ちゃんの面倒を見るとオキシトシンが女性と等しく出る。
したがってよい家族関係を作るには男性が赤ちゃんの世話をすることが不可欠。

女性は放っておいてもオキシトシンが出るので、母性愛が発揮されるが、男性は自分でおしめを替えてこそ、家族愛が高まる。
赤ちゃんが可愛いから面倒を見るのではなく、面倒を見るから赤ちゃんが可愛くなる。

日本ではペットを飼い可愛がる人は多いが、養子を迎え入れる人はとても少ない。
アメリカではセレブから一般の人まで養子を迎えいれることは珍しくない。
養子縁組のぞうかはと子供たちにとっても実の親にとっても、里親にとってもいい話。もち社会にとっても少子化対策に貢献しいいこと尽くめ。

日本の人口1億人維持と希望出生率1.8の目標を実現するには、フランスの取り組みが参考となる。(合計特殊出生率10年で1.66→2.0以上)
シラク三原則
①子供を持つ、持たないは自由に決めれば良いが、経済状況に応じて自治会が負担、子供が多くなるほど補助金を出す。何人産んでも経済的に困らないようにする
②保育園の整備。待機児童ゼロ
③育休後の復職では元のポジションに戻れる。
+αで婚外子を差別しない
これにより、専業主婦より仕事を持つ女性の方が一生に数多くの子供を産むようになった。

国の財政状況は歳出が税収をはるかに上回る状態でそれを借金である国債でまかなっているが、このような状態でも国の財政がなんとか回っているのは、経常収支が黒字を維持しているからで、国債を大量発行しても国内で引き受けられるから。
過去にデフォルトを引き起こした国は、主に海外からお金を借りていた。
日本同様国土再建を果たしたドイツでは財政収支を既に黒字化している。
黒字化のためにはプライマリーバランスをプラスに回復し、社会保障と税(給付と負担)の一体改革が不可欠。

政府の基本的な役割は税金や社会保険料で必要な費用をみんなから集め、公共財、サービスを活用して、困っている人や弱者に再分配すること。


国民に対する社会保障などの給付は税金などの負担により賄われる。なので給付より負担の方が大きくなる。その運営にはオペレーションコストがかかる。
このオペレーションコストをミニマムにしようとするのがいわゆる小さい政府で、負担の大小とは関係ない。
より多くの給付を受けたければ、たくさん負担するしかない。

日本の社会保障は国際比較すると、小負担・中給付の政府で、高齢化により給付は増加するから、必然的に赤字が累積する構造に。

今後は消費税率を15%程度に上げて、中負担・中給付にするか、
EU諸国並み20〜25%に上げて、大負担・大給付にするかの2択となる。

国民年金保険は、国が給付の半分に相当するお金を補填してくれるので、こんなに有利な金融商品は他にない。

公的年金保険も社会構造が変わり、高齢者が増えて若者が少なくなっているのだから、昔に比べたら給付額が減るのは当たり前の話。

社会保険、すなわち公的年金保険や健康保険は人々を守るセーフティーネット。

年金の大原則、「将来の年金を担保するのは経済成長と良い政府だけ」。
将来もらえる年金を増やしたかったら、負担を増やすしかなく、それには社会保険料を引き上げるか、社会保険料は据え置いて社会を全体を成長させるしかない。

日本の歴史の優れたリーダーは商売や交易こそ社会の基本という認識があり、冷静に世界を見て大きな政策を考えることができた人。平清盛(貨幣経済の導入)、足利義満(明との勘合貿易)、織田信長(貿易推奨、関所の撤廃、楽市楽座)など。

リーダーの責務は民衆にご飯を食べさせる事だから、経済を盛んにして市民にご飯を食べさせた人が偉い。

諸葛孔明は劉備の意思という名文で何度も北伐を仕掛けて敗北、忠義の士として名を残したかっただけで、市民にとってこれほど迷惑なリーダーはいなかったのではないか。

良いリーダーはイデオロギーや宗教的な信念で人々を引っ張るのではなく、きちんと市民にご飯を食べさせてくれる人。
商売や公益を盛んにして社会を成長させ、分配すれば、みんなが喜ぶ、政治はそれが基本。
私腹を少しぐらい肥やしてもいい。経営者が高給をとっても、社員も相応にもらえれば満足度も高いが、自分だけ高給をもらうなどは論外。

リーダーは育成できない。適性が全て。

選挙に行って投票することで、リーダーを選ぶ。
投票率が低いと、後援会(既得権益)に推されている世襲議員に有利となり、新しい人の政治参入が難しくなり、既得権益が維持されるだけ。

私のような大学も出ていない無知な女でも、まだ道端に咲いている花の名前を1日に一つくらい覚えることができる。一つ名前を覚えれば、世界の謎が一つ解けたことになる。その分だけ人生と世界は単純になっていく。
だからこそ、人生は楽しく、生きることは素晴らしい。

ココ・シャネル

★★
迷ったらやる。迷ったら買う。迷ったら行く。
迷うということはどちらも良いところがあり、悪いところもあるから迷う。そういう時にいくら時間をかけても、答えは出てこない。ただ時間が過ぎていくだけ。答えが出ないのに、迷っても無駄だから、迷ったらやる、買う、行く、ですぐ行動した方がずっといい。

人生の楽しみは喜怒哀楽の総量だ。
いいことがあったら+100で、悪いことがあったら−100でプラマイ0ではない。
私たちは嬉しいことや楽しいことはたくさんあった方がよく、辛いことや悲しいことは少ない方がいいと思いがちだが、よくよく考えてみればそんな人生は味気ない。
喜怒はもちろん、哀楽もある方が面白いし、人生は豊かになる。
プラスマイナスで計算するのではなく、総量の絶対値で捉えた方がいい。

何かを始めることの躊躇は、失敗して自分が傷ついてしまうことの怖れ、しかし、失敗しなければ経験が出来ず、賢くなれない。失敗したくないから、何もしないというのは、実にもったいない話。

カッとした時はトイレに行き、顔を洗う。その間には5分くらいかかり、カームダウンする。

ゆっくり急げ。

ローマ帝国初代皇帝 アウグストゥス


三つの鏡。
意思決定の際に大事にしたもの。
銅の鏡、歴史の鏡、人の鏡。
銅の鏡で自分を映し出し、心身の状態をチェック。
将来は予測できないので、歴史の鏡で過去の出来事を学ぶ。
人の鏡で部下の直言や諫言を受け入れる。

必ずしも自分の好みでない誰かが決めたパターンにわざわざ自分からはまりにいく必要はない。
例)定年退職後に蕎麦打ちを始めるなど

人間は一所懸命自分の好きなことをするのが幸せだ。
幸せな世界とはみんながそれぞれ他人に気兼ねなく、自分の好きなことに打ち込める世界。私たちが次世代に引き継いでいくのは、そういう社会でなければならない。

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