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#曲からストーリー 秒速5センチメートル コスモナウト 花苗の手紙

  遠野貴樹さまへ

 初めて波乗りに成功した日
 君と同じコーヒー牛乳を買ったとき
 告白しようとおもった
 君の袖を掴んで
 でも君の心はここになかった

 星の降る帰り道
 海の見えるあの丘で
 君のバイクを見つけて私も停まった
 「来たね」と言われて「来たよ」と言って
 宿題のプリントで紙飛行機作って天の川まで飛ばしたね
 あのとき君は何を考えていたの?

 私たちが見ている空が違う空だと気づいたのはあの日の帰り道
 打ち上げられたロケットを見ている君の瞳
 私は君を見ていたのに
 あの日打ち上げられた探査機は今頃どこまで行ったかな


あれから私は頑張って勉強して鹿児島の看護学校に入りました。
今は南種子島病院で働いています。
亮くんっていうサーファーの子に告白されて付き合ってみたけど長続きしなかった。
それで私は今でも遠野くんが心の中にいることに気づきました。

一度東京へ会いに行こうと思ったけどやっぱりやめました。
その代わりこの手紙を出します。
この手紙を君が読んでくれるなら、それが私にとって一つの区切りとなります。
きっともう二度と会うことはないだろうから。

仕事は辞めたって聞きました。
でも遠野くんならきっと大丈夫。
次の新しいステージに進んでいるのでしょう。

私も頑張ります。
あの丘から海と夜空眺めていたら段々外の世界を見たいと思うようになりました。
この島は大好きだけど、もう少ししたら海外へ行こうと考えています。
看護留学というやつです。
物を知らない私はもっと勉強しないといけません。
海外で働くのかどうかも分かりませんがやってみようとおもいます。
いつからか私は遠野くんの見ている世界に追い付こうとは思わなくなりました。
私は私で遠くにあるものを探しに行こうと思います。
あの探査機のように。


さようなら遠野くん。
私の初恋の人。
どうか元気でいてください。


  澄田花苗より


引用YouTuber




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