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ハート・オブ・ビジネス

【第一部】
仕事は苦しみをもたらすという考えは、はるか昔の古代ギリシャから産業革命に至るまで連綿と続き、現在も仕事に対する考え方や感じ方に影響している。
フランス語で仕事を意味するtravailは、拷問具を意味するラテン語に由来する。
laborという単語には労働の他に陣痛という意味もある。(アダムの呪い)

仕事とは、
人間らしく生きるのに欠かせないもの、
自分の生きる意味を探すための鍵、
人生に充実感を見いだす手段だ。

自分のパーパスとは、
愛していること、
得意なこと、
世界が必要としていること、
お金が得られること、
この4つの要素が重なる部分となる。

中世に石工で同じ作業をしている2人が、
何の仕事をしているかと尋ねられる。
1人は「見てわかるだろ、石を切っている」、
もう1人は「大聖堂を作っている」と。
どんな仕事にもパーパスは見つけられる。
何があなたを突き動かしているのか?
あなたの弔辞にどんなことが書かれて欲しい?

完璧を追い求めていると悪魔になりかねない。
自分が不完全で、弱さを抱え、サポートを必要としていることを認めなければ、他人を愛したり、関係を育んだりすることはできない。
(マーシャル・ゴールドスミス20の悪癖参照)
フィードバックてはなくフィードフォワードで

すべての物事に対して答えを持てる人間はいない。健全な職場環境では、「分からない」と言うことを誰も恐れない。しかし多くの人はいまだに「分からない」という発言が弱さと受け取られることを恐れている。
誰であっても、自分の弱さを受け入れ、失敗から学び、周りと比べたベストではなく自分のなかでのベストを目指すことで、最良の力を発揮して仕事をするリーダーになることができる。なぜなら、そういう不完全さがあってこそ人は本当の意味で他者と深くつながっていけるからだ。

【第二部】
利益は業績を測る良い指標ではない。
利益ばかりに注目することは危険である。
利益だけに目を向けていると顧客や従業員を敵に回す。
利益だけを追うことは精神に良くない。

「人」への投資は短期的に見ると利益を圧迫するものとみなされうる。不動産や工場などの有形資産への投資であれば、数年にわたる減価償却として計上できるのとは対照的だ。

利益は簡単に操作できる。
人材や顧客のためになる資産への投資を減らすことで利益は最大化できる。(短期的だけ)

人→ビジネス→財務 の順にみる
利益は最初の2つの要素の結果として生まれる

新規事業を検討する上でポイントは、
その事業は会社のパーパスに沿っているか?
顧客にとって良いものか?
実現可能か?
そのうえで、利益をもたらすか?

「顧客にとって最高の仕事」は従業員が顧客を歩く財布と見るのではなく、人間として心を通わせるときに生まれる。

ベストバイのパーパスは、「テクノロジーを通して顧客の暮らしを豊かにする」こと。
家電を売る、株主価値最大化ではない。
「背中を押す友人に」、「人間らしい行動を」

二者択一の問いの98%は「どちらも(and)」と答えたほうがいい。(二者択一からの脱却)
コストと収益、コストと品質、長期と短期など

ビジネスほゼロサムゲームであるという世界観を捨てる。どちらも可能と言う視点を。

KPIを変えることで経営慣行を変革する。
「木を見て森を見ず」となっていないか。
現場の従業員の声に耳を傾け、仕事を妨害する「クレイジーで、愚かで、バカげた」物事を速やかに特定する。


【第三部】
販売奨励金があることで、販売員は顧客への最も適切で客観的なアドバイスに専念することができなくなる。
(顧客も、買い物客のニーズを無視して、奨励金が一番高い商品を売りつけると感じている)

金銭的なインセンティブは、現在と違うタイプの仕事に向けて設計されたものであるため、時代遅れである。

金銭的なインセンティブは、エンゲージメントではなく従順さに焦点を当てているため、的外れなものである。

従業員たちを「リソース」ではなく「ソース(力の源泉)」と捉える。従業員たちは「人材」ではなく、共通のパーパスを追って協働する個人として扱わなければならない。従業員はそれぞれのモチベーションや目的意識を持った個人であり、お金だけに動かされる人的資本ではない。
ヒューマンマジックを解き放つとは、一人ひとりが生き生きと働ける環境作りを意味する。
一人ひとりの生きる意味の探求と、会社のノーブルパーパスを結びつけるのだ。

従業員に顧客を家族や友人のように考えるよう促す。人の暮らしにとって大切なミッションのもと、他者に奉仕するため力を合わせて働く。

「弱さを見せることは関係を築く接着剤だ」
弱さをみせるには勇気がいる。
信頼が築かれ各自が尊重される環境で弱さを見せると、周りはその人を助けたくなる。そして、周りの人も助けを求めてよいのだという合図にもなる。

「最高のチームとはAクラスのチームであって、Aクラスのプレーヤーの集まりではありません」

ベストバイのダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みに、「リバース・メンター(逆メンター)」プログラムがある。幹部と従業員がペアになり、従業員がメンターとなってさまざまな違いへの理解をサポートする。

ジェフ・ベゾスは失敗を2種類に分けている。
1つめは、勝手を知っている専門分野で失敗すること。コアビジネスに関連する失敗は許容できないはずだ。一方で2つめの失敗は、新しいアイデアや新しいやり方を探求しているときに起こるもので、イノベーションに欠かせないものだ。そこでの失敗は想定内のものとして受け入れられる。

自分たちの市場を「店舗に並べる物理製品の小売販売」だと狭く定義していた。
「テクノロジーを通じて顧客の暮らしを豊かにする」とすることにより、従業員の士気は高まり、新しい市場を見いだせるようになる。


【第四部】
無欠のリーダーというイメージは魅力を大きく失っている。多くの人が「偽りのなさ(オーセンティシティ)」と「つながり」に価値を置くようになってきている。

何が自分を突き動かしているだろう?
未来に何を残したいだろう?
どうすれば道から逸れずにいられるだろう?

パーパスと人を第一に考える、「パーパスフル・リーダーシップ」が求められる。

「あなたの行動によって、周りがもっと夢を見て、もっと学び、もっと行動し、もっと良い自分になりたいとかり立てられるなら、あなたはリーダーだ。」

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