見出し画像

4-10. プロと平等主義は合わない。

ファーストリテイリング社長 柳井 正

 と言うのはファーストリテイリング社長の柳井 正である。
 また、

「一般社員はともかく、上級管理職まで平等主義が入り込んでいることが、日本型企業の一番の問題だと思う」

という認識も示している。

 同社には、年功序列の考え方は会社発足時からない。昇進や昇給はすべて業務推進能力が基盤である。

 4半期ごとに社員一人ひとりに対して日常の業務評価を行い、ペーパーテストの結果で職階が上がる。職階にしたがって給与が決まる。

 各店舗には店長がいて、5店舗くらいごとにエリアマネジャーが1人いる。さらに、エリアマネジャー5人当たりに1人ブロックマネジャーがいる。

 ブロックマネジャーは、20歳代がほとんどで、その下に30歳代のエリアマネジャーや店長がいるというケースも珍しくない。

「同じ職階に止まっている限り給料は上がりません。そんな人は当社には不向きだということになります」

 すでに若い企業では、こうした新しい人事システムも行われているのである。
 プロと呼ばれるビジネスマンになるのも難しいが、プロの経営者になるのもまた、容易ではない。
阪急グループを育てた小林一三は、本物の実業家になるにはいくつかの試練を経験しなければならないと次のように言う。

「実業家が実業家として完成するためには3つの段階を通らねばならぬ。その1つは長い浪人生活だ。その2つは長い闘病生活だ。そして、その3つは長い投獄生活だよ。この3つのいずれかを体験してこそ、本当の人間はできていくものなんだ」(小林一三)

言ってみれば、こうした経験を通して初めて、事業を行うに必要な人間的な洞察力と胆力がつく、ということらしい。

 ここまで言ってしまうと、実業家にはなりたくないという人がたくさん出てきそうだが。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?