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090 ガラパゴス化する? 日本のものづくり

日本の製造業は競争上の優位性はグローバルにみても高いはずですが、市場では優位性を失い、新しい産業も興らず、自動車を除いては市場では負けるという結果になっています。内装部品としては活用されていても、完成品としては、後塵を拝してしまっています。そのため、日本のものづくりは、ガラパゴス化していて、グローバな競争に勝てないという意見が聞かれます。
ガラパゴスといわれる理由として、
①半導体やスマホ、EVなどでグローバルな競争で押されて苦しんでいる、
②日本企業からイノベーションを興すような新製品が生まれてこない
の2つが言われています。
果たして本当に日本ものづくり力はガラパゴス化しているのでしょうか?
日本のものづくりが負けているのではなく、企業のマネジメント力が負けているのであって、課題は高度なものづくりの力を活かして成果に結びつけられない「マネジメント力」にあるといってもいいでしょう。
かつて日本が強さを誇っていた半導体産業や家電産業などの分野で、日本はアメリカや韓国や中国の企業の後塵を拝しています。熾烈な競争を展開しているライバル企業の多くは、日本製の高度な部品やシステムを使い、それが、製品の品質や特性・機能を支えるカギになっていたりします。
日本の最先端のものづくり技術がうまいマネジメント力を得れば、グローバルな競争力をもつことは難しくないでしょう。世界でオンリーワンの高度な技術力をもちながら、日本が市場を奪われている原因は、その技術力や高品質づくりのノウハウを活かしたビジネスモデルを確立できなかった、マネジメント、つまり経営の問題があることがわかります。
ガラパゴス化していると言われている2つ目の「②日本企業からイノベーションを興すような新製品が生まれてこない」というと研究開発力、技術力が足りないと言われそうですが果たしてそうでしょうか。
かつて、日本の産業界は、カメラ、時計、トランジストラジオ、ビデオ、ウォークマン、カセットテープ、家電製品、ファミコン・ゲーム、デジタルカメラ、最近ではハイブリッド車……など、さまざまな製品で世界のイノベーションをリードしてきました。
それが、ここしばらく、アップルをはじめとし他企業に後塵を拝しています。
なぜ、こんな状態になってしまったのでしょうか。
日本の製造業の経営者に、当面の課題は何ですかと聞くと、決まって、「技術開発」が高い優先順位であげられます。そして、イノベーションには最先端の研究開発成果が必要で、それがないために自社からイノベーションにつながるような新製品が生まれないという意見が言われます。いま彼らの関心はDXでしょうか?
 「8.日本人の創造性と独創性」のノーベル賞の受賞者数でみたように、科学技術力・研究開発力では日本と中国や韓国の差は歴然です。そうした企業に商品開発力、市場占拠率で後塵を拝している状態を見れば、研究開発成果がないから市場でイノベーションをおこせない、という理由が成り立たないことは明らかです。

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