therapy

psychotherapist
心理療法士

今、わたしはなれているのかな。

2年目の今以上に未熟な頃、
大先輩が【面接とは】という
講義をしてくれた。

その先輩はめちゃくちゃイケメンだし、
面白いしすごい人なんだけど、
癖はとても強くて、話が長め。
好かれているけど、〇〇さんに話しかけるときは
40分は見てるって言われたりする。

クライエント中心療法から始まって、
おいおい今から大学4年分始まるんですか？
って思ったけど、意外にまとまってて
すごいあっという間に時が流れた。

すごい勉強になることがもっとたくさん
話されていたけど、
一番残っているのが若かりし日の先輩が
絶望したよって話。

就職してすぐにキラキラわくわくしながら、
心理界の偉大な大先生に
心理士に向いてる人ってどんな人ですか？
って訊いてみたんだって。

そしたら、当時から変わり者って自分でも
思っていた先輩が絶望する返答が
あったらしい。
変わった角度から物事が見られる人
とか
独特な感性を持っている人
とか言われることを期待していたのかな？

大先生は、
ふふっと笑って
普通の人だよって答えたんだって。

ごく普通に日々を生きて、
ごく普通に笑って泣いて感動して
ってできる人が向いているんだって。
だって、特別な人には普通の人の
気持ちが想像できないでしょう？って。

その話を聞いて先輩は絶望したって言ってて
みんな笑っていたけど、
わたしはその時こっそり
やった！わたし向いてるじゃん？
って自信を持ったの。

関わった子たちに
何をしてあげられたかなぁって
無力感みたいなの味わうことは多々。

同じ気持ちになることはできないし、
同じように痛むことはできない。
でも、わからないからこそ
知りたいんだよ。
言葉だけじゃなくて
今までの流れ、
表情、ちょっとした間、
いろんなことを手がかりに
あなたを知りたいと思う。

あなたが生きてきた人生を
かい摘んで教えてもらっているから、
この遊びでは
こういうことをわたしに体験して
わかってほしいのかなーって
想像力をめいいっぱい働かせて考える。

いつかわたしも異動するかもしれないし、
逆にもう学校も忙しくなるし
セラピーなくても
頑張れるよってなるかもしれない。

でも、わたしもずっと忘れないよ。

セラピーはセラピーなんだけど、
わたしの目や心を通して
あなたたちを見つめるという時間だから、
わたしの方にもたくさん気づきがあるの。

もし道を踏み外しそうになったら、
思い出してほしいな。
あの不思議で緩やかな力の抜ける時間を。