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茨木のり子の詩   アフォリズム5


「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


言葉からくる「凛とした逞しさ」をひしひしと感じる。

なんといっても50を過ぎてからのハングル学習で
韓国現代詩の翻訳を成し遂げた・・・。韓国には根強いファンがいる。

亡くなってからもう16年経った。早いものだ。

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