中2の秋

「昭和中期生まれジジィの想い出」

中2の秋 ちょっと、寒くなりかけてきた秋

中学校から下校の時

ボクは、友達といつもと違う道を歩いて家に向かってた

日が傾きかけた夕方

秋の日は、つるべ 落とし

なんで違う道を選んだのか、ぜんぜん覚えて無い

遠回りだったけど

知らない道ってちょっとワクワクする

用水路を越えて国道沿いを歩いていると

トラックが、何台も走っている、道路の反対側に見慣れぬ自販機が……

ほぼ全面ミラー仕様の自販機

中が、全く見えない自販機

何だろう?と思って友達に聞こうと思った時

友達が、

「あっ!あんなところにエロ本自販機ある」

って

その一言で、

全て悟ったボク

すかさず友達に合わせて「あっ!ホントだ」(へーあれが噂に聞いたエロ本自販機かぁ)

あんなところで、買うやついるのかよぉ~

なんて言いながら

目は、ミラー仕立ての自販機に釘付けだった

その時だった

自販機の中の蛍光灯が

チッチカチカパッっと灯った

薄暗い夕方

中が顕になった

「うわっ」「エロ~」

なんて言ってる僕たちの間には、トラックが、何台も通ってた

しばらくして、ボクたちは、その場を去った

後ろ髪を引かれながら……

家に帰り晩御飯を食べて自分の部屋で、ラジオを聞いた

その時、FMラジオのパーソナリティが

「秋といえば芸術の秋、運動の秋、読書の秋、あなたは、どんな秋をお過ごしですか」と問いかけてきた

ボクは、急に読書が、したくなった

でも家の本はみんな読んだしなぁ

その当時、コンビニなんてものは、なかった

本が、買える所……

あっ!あそこしかない

ボクは、貯金箱から

小銭を沢山取り出し

国道沿いに向かった

ちょっと寒かったので自販機の近くで、パーカーのフードを顔が見えないくらい深くかぶって自販機に向かって歩いて行った

あまりにも深くかぶっていたので、あんまり前が、よく見えなかったけど目的の場所は、しっかりわかってた

そろそろ自販機だと思った瞬間

ドンっと人にぶつかった

そこには、昼間一緒に帰った友達だった

……

友達は

なぜかサングラスをかけてた

夜なのに

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