永遠のいのち 前半
長者町は繊維街で有名であったらしい。現在でももちろん繊維を扱った店もあるが、最近では若い人たちがめいめい飲食店など繊維以外の店を持ちそれぞれが活躍しているそうだ。
正彦の父も米屋の仕事が終わってから、2人目の息子を寝かしつけ妻に断りを入れて正彦を連れてよく飲みに行っているらしい。
正彦にとってはそれはひとつのストレス解消法となっており、またツマミなどで出てくる揚げ物やにおいのきついタバコの煙などがなんとなく6年生の正彦を大人の世界にいざなってくれるようでした。
そこによく来る常連のおじいさんがいるのだが
酒は弱くてすぐに酔っ払ってしまうのに、あたり構わず客に口論をふっかけてきて最終的には
「すまん。すまん。」と言って退散してしまうのがいつものパターン。という人だった。
正彦はこのおじいさんが悪い人にはみえず、またよく「ぼうず!飲めるようになったら金持ってこい。」なんてことも言うのだから「将来大人になったらほんとうにお酒をご馳走してあげたいな。」と、本当に思っていた。
そう。大人になったら・・・。
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