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まあ太のぼうけん その6

 まあ太はとにかく人のいないところへ行こうと思い、賢者の街の外れにある海辺のところまでやって来ました。
 まあ太はぼーっとした顔で海辺の土手に座り込み、ほおづえをついて一言
「わかんねぇなぁ。」とだけつぶやきました。

まあ太の力のなさにカラス天狗まで降りて来ました。

 するとその時、自分の横に自分と同じようにほおづえをついたひとりの老人が座っている事に気づきました。小柄で頬はこけており、色は白く髪はばさばさでぼろぼろの服を着ています。

 しばらく時が止まりました。が、勇気を持ってまあ太は老人に尋ねました。

「あのう。嫁さんを探しに・・・。」
 まあ太が言うのが早いか老人はたたみかけるようにこう言うのでした。

「わからん!何もわからん!何が良くて何を思い、何を心のよりどころにして良いのか全然わからん!見たかね彼らの姿を!あれで勇気があるといえるのか!あれで誰よりも自分が賢いだと?
そんなことをしたって何一つ意味のないことがどうしてわからないのだ!」

 まあ太はまるっきり先手をとられてぽかーん。としていましたが、ふと我に帰りおっ母の

「着るものは安くても身なりはきちんとしておいた方がいい。」という言葉を思い出し
「風呂に入って髪を切って新しいシャツを買った方がいいよ。」と老人に伝えました。

 すると老人はびっくり仰天しころころと坂を転げ落ちてそのままつま先が土に食い込むくらいひっくり返りました。これはいかんと思い4人が近づくと、老人は

「ああ。そうだった。そうだな。それがいいんだな。」と何度も頭を掻いてそう言いました。

 老人はすっかり落ち着きを取り戻し、穏やかな顔になってこう言いました。
「お前が望んでいるものは、この世で最も偉大で尊いもののなかのひとつだ。叶うかどうか。それはいくつになってもわからんよ。いない方が良かったなんて思うかもしれないしな。」そこまで言うとポケットからタバコを取り出しそれに火をつけてから老人は話しを続けました。

「まあそれでも俺はお前のために祈るとしようか。正しい心で望む願いは大体ひとつかふたつは叶うというからな。
 あきらめない。というのは願いを叶えるための最良の近道なのだ。とても難しいことだがね。
ところで。」

 そこまで言うと老人はタバコの火を消して灰皿にしまい、非常に険しい顔になり腕を組んで顔を上にあげひと呼吸置きました。

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