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行きたかった場所(続き)

ところで沖縄ってどんなところ????
って聞かれたら、なんて答えますか?

「海が綺麗な観光地」
「国内なのに海外みたいなところ」
「楽しいこといっぱいな場所」

思い浮かぶイメージは綺麗な青
空も海も綺麗な青

私はそんなふうに思っていた





普通の街中

道沿いにお店屋さんがあって
車を走らせていくと
その中にぽこっと雰囲気の違う空間が現れる
そこが私の行きたかった場所
ひめゆりの塔だった


自然が豊かな公園…というよりはお庭みたいな
そこだけ別の世界のような雰囲気
木の根っこがところどころボコボコしていて
その奥に石碑や献花台が見える

私は塔だと思ってた
背の高い建物があるんだろうなって

そうではなくて
石碑だった
視界に入っていた四角い石碑の一つが
ひめゆりの塔

そこにはたくさんの名前が書かれていた
その後ろには大きな穴
実際に使われていた防空壕

防空壕は普通掘ってつくられるものだけど
これは自然にそこにある鍾乳洞?穴だった


ここに来る前
なにも知らなかった私は
少しくらいは事前に知識をと
地元の図書館に本を借りに行った

でもね、ないのよ
借りられてるとかじゃなくて
そもそも蔵書にない

朝活で沖縄戦について書かれた
絵本を紹介しているブログを読み
そこにある本を探したけれど
1冊しかなかった…
田舎の図書館だからだろうか


私は
中学校の合唱祭で歌った歌
物悲しい歌の舞台っていう知識しかなかった

小6娘の社会の教科書を見せてもらったけど
小さな写真に1、2行の言葉が添えられるだけしか載っていない沖縄戦

なぜか詳しく語られない
戦争の時のとても悲しい出来事

そんな頭でその場所に立っていた


石碑の奥に素敵な佇まいの建物
別荘みたいな?
綺麗なお花が咲いていて
静かで、素敵な建物

その中にはたくさんの現実があった

現実しかなかった

当時、希望に溢れていただろう女子中学生、高校生
その本人たちが直接、なにがあったのかを
語り、訴えている場所だった

そこにあるもの
どれもこれも、切なくて、辛くて、やるせなくて

気持ちを想像して涙が出てくるけど
その当時その人たちは泣くとか悲しいとかそんなんじゃなくて
いきなり放り込まれた現実であり
それが当たり前だったり
それが最善だったり
どんなに想像してもしきれない できない
そんな世界がそこにあった

自分は死ぬものだと思っていたと語る女性

兵隊さんは天皇陛下万歳と言って死ぬんだと教えられていたが、そんな人はいなかった。たくさんの兵隊さんを看取ったが、みんなお母さんとか家族のなまえを呼んで死んでいった

当時は高校生くらいの女の子が、切断手術の方法を覚えるくらい一日に60人もの手術に立ち会い、手伝う。腕や足を捨てにいった。足はものすごい重かったと、静かに話す

目の前で被弾した友達が、私は助からないから置いていけという、置いていきたくなかったけど、置いていってしまった

たくさんの、知らない本当のこと


どれだけ想像しても
気持ち重ねようとしても

今が平和なのかそうでないのかすらわからない私には、なにもわかることはできない。どこまでいってもわかった気になってるだけなんだと、さらに悲しくなった


最後の方のお部屋
たくさんの写真がかざられている
まるで、卒業アルバムみたいだと思った

そこには名前と
どんな人だったかと
どんな最後だったかが書いてある。

卒業アルバムなんかじゃない
全ての展示を通して
共通して出てくるエピソードや人物

全てが記憶なの
その時その場所にいた
その人たちの記憶と思い出

この建物の中は
ずっとあの戦争の中だ
終わらない戦争の中だ


「悲劇の象徴として語られるなか、当人達は友達をおいてきたことなど生き残って申し訳ない気持ちがきえなかった。1989年ひめゆり同窓会にて体験をかたりつぎ平和の大切さを訴え続けることが鎮魂になると考えるようになった」と最後に書いてあった 

この資料館は
何もしらず、しらされず戦場へ放り込まれた
女子中学生、女子高生が、自分たちで作り上げたもの

なにも知らない私たちに
平和とは?戦争とは?私たちとは?と問いかけている


中学生の時歌った歌
「ひめゆりの塔」
山本和夫 作詞/岩河三郎 作曲は

当時の私と同じ歳の
同じ女の子たちの現実

あのうたは
この建物の中でずっと
今も戦争の中にいる
女の子たちを思い歌っていることに今更気づいた

「紅いハイビスカスの 花に囲まれ
 屋上のシーサーが 謎を投げかける
 解けぬ永久の謎を 君は投げかける」


ただただ綺麗だと思っていた
沖縄の青は
数えきれないたくさんの色を
混ぜ合わせてできていることを知った


永久の謎の答え
私だけでは解けそうにないから
みんなも一緒に考えてほしいな

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