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金柑の木になる橙の実
云々と立ち話をそばに
風は吹かれて
涙はあふれた
時折やさしい言葉に
心ふるえることもある

襷をください
このわたしに
一つばかりの愛情と
二つばかりのよろこびと
危うさも一つの希望と捉えたならば

頬に残る儚い予感も
春が来れば和らいで
冷えた風に遺した
一握りのメッセージを
わたしにも少し
読ませてください
読ませてください

知らぬうちに咲く梅と
湿ったくちびるに残る歌
山に帰らぬ
海原のうねり
時折わたしたちにも
力を分けてくれる

襷をください
このわたしに
少しばかりの緑の光
遠くで鳴いた蟲の声
時間を癒やした木々のざわめきとともに

頬に残る甘い後悔も
桜咲けば和らいで
冷えた身体に遺った
ちいさくてつよい願いを
あなたにも少し
読んで欲しい
読んで欲しい
読んで欲しい

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