保育におけるICTの活用に関する研究

宮崎学園短期大学 保育科 准教授 井上 浩義

 近年の学校教育においてはICTの活用が進められており、幼児教育においても、養成校での「指導法」や「教育方法・技術」の科目において、ICTの活用に関する項目を扱うことが必須となっています。しかし現状では、保護者・保育者・学生それぞれにおいても、保育・幼児教育の実践場面おけるICTの活用については反対意見が多く、保育実践におけるその導入は十分に進んでいいません。
 保育現場において保育実践でICTをどのように活用しているかを調べ、ICTを活用することにより、園での子ども達の遊びや生活が充実し、子どもの育ちを保障することにつながっているか検討しました。ICT機器を活用することで、子どもの言葉や意欲などを大いに刺激する保育実践が可能になると考えられる一方で、保育実践の中で子どもがICT機器を利用するためには、保育者のスキルが十分でないとの課題が明らかとなりました。
 また、保育実践におけるICTの活用に対し、十分な理解が進んでいないことについて、保育者の卵たる保育者養成校の学生が忌避感を持っているのではないかと考え、調査しました。加えて、ICT活用への忌避感を軽減する授業実践を紹介するとともに、授業を通じて学生の意識がどのように変革するかを検討しました。学生は、保育におけるICT活用とは、業務負担軽減目的でとらえており、従来の保育を否定するものであるといった勘違いをしていること、ICT機器操作に対する自信がないため、自身がICTを活用した保育実践を行うイメージが持てず、忌避感を持ちやすいことが分かってきました。保育者養成校では、ICT機器を保育実践における道具の一つとして扱うことができるよう、保育実践例の紹介や、適切な教育ソフト・アプリを選択できるだけの力量や保育者の視点、情報収集能力の育成などの授業内容が必要となってくることが考えられます。

図1 ICTを活用した保育実践例

発表論文

  • 大坪ら(2023)保育におけるICTの活用について(1)~保育現場で の活用の実際と課題~ 宮崎学園短期大学紀要第15号 Pp.1-10

  • 井上ら(2023)保育におけるICTの活用について(2)~学生のICT活用への忌避感を軽減する教育方法~ 宮崎学園短期大学紀要第15号 Pp.23-3

  • 井上・大坪(2022)ICTを活用した幼児教育に関する養成教育の課題ついて 宮崎学園短期大学教育研究第18号 Pp.13-18

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