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詩「無数の目」


数え切れない程の目を
僕は
見た事があるんだ
かつて
この
校庭のイチョウの木の下で…

光があるから
どんな目をしているのか
分かるんだ
だいたい
僕をどう思っているか知ってる
攻撃したいんだ
ただ
単に
割り切れる程
簡単なんだ
僕が
飲み込めないでいるだけで…

どうしようもない苛立ちを
僕は別の生き物にぶつけた
彼らは僕を見るなり逃げた
考える間もなく
本能で
それが
非常に羨ましく妬ましかった

僕は
無数の目を
圧倒的な力でねじ伏せ勝利した
彼等は
力なく横たわっていた

それが
何を意味しているのか
僕は知って
ただ
虚しくて
悲しくて
光のない彼等の目が
ゾッとするほど恐くて
また
僕自身が
恐くて
怖くて
コワくて
あらゆるものが
こわくて
そんな
自分が滑稽で
情けなくて
ただ、泣いていたんだ
声も出す事が出来ずに

そんな時
ある優しい目が来て
「どうしたの?」
と僕に囁いた
ポンと叩かれたその手は温かかったが
多分
僕を分かってはくれないと思った
僕の手はひんやりと冷たくなった

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