『ダービースタリオン』|プレステの思い出
何故だろう、中学、高校と、競馬にハマる輩が多い。私もそうだ。成人したら一切興味がなくなるのだが、多感なあの時期、あんなに、何に惹かれていたのだろう。まさか、馬力?
『ダービースタリオン』がプレステで登場するというので、皆、浮き立ってソワソワしていた。コンビニでプレステのソフトが予約できる、それが画期的な時代だった。同級生の兄貴が大学生で、コンビニでバイトをしていたので、私の分も併せて予約してもらった。
発売日当日、その同級生は、自分の分しか受け取って来なかった。おい……って、金を払わないといけないから、そりゃ当たり前か。勉強とゲームしかしてこなかった私には、同級生の兄貴とはいえ、会ったこともない年上の中途半端な他人と話をするのは緊張する案件だった。できれば会いたくないというのが本音だ。
次の日、私はそのコンビニをスルーして家に帰った。また次の日、同級生に白い目で見られ、また次の日、ようやくコンビニへ足を運んだ。私は、嫌なことはヤル気になるまでトコトンやらない、そういう主義だ。その成果か、同級生の兄貴は非番で、完全に他人のコンビニ店員に事情を話して、『ダービースタリオン』を手に入れることができた。これは幸先が良いのではないか。
出遅れたが、幸いにも夏休みだ。全ての時間を使って、最強の馬を作る!
夏休み明け、同級生たちのパスワードを受け取る。クラスカップ(CC)の開幕だ。
私が一番弱い。
え、なんで?!
出遅れたせい?!
(人見知りしたせい?!)
暫くして『ダービースタリオン完全真書』が発売された。誰よりも早く手に入れて、徹底的に読み込む。勉強は得意だ。血統……ニトロ理論……同級生たちのパスワードを受け取る。クラスカップ(CC)の開幕だ。
私が一番弱い。
え、なんで?!
勉強とゲームしかすることがなかった私は、いつの間にか本当につまらない人間になっていた。勉強とはテストのセオリーを見抜くこと。どんな問題が出て、どんな引っ掛けを出してくるのか、それはパターンとして分かってくる。
ゲームにも、セオリーを求めるようになっていた。どうすれば、故障しないか、丈夫になるか、良血になるか、平均を超えられるか。
GI 制覇して、ゲームのクリアはした。だが、無難で、そこそこ強いだけで、どんな条件のレースでも、私の馬が勝つことは一度もなかった。面白味のない、ちょっと平均を超えただけの、何でもない存在。あることに突出するというチャレンジ精神のない存在。その馬たちは私だった。
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