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『ファイナルファンタジーVII』|プレステの思い出

『ファイナルファンタジーVII』が発売されたのは高校受験の真っ最中で、最悪だという思いしかなかった。推薦で受験に関係のない奴らや、そもそも進学すらしない奴ら、勉強と両立できる超人脳の奴ら、そいつらが恨めしくて仕方がなかった。

嫌でも耳に入ってくる教室内での感想、プレイ進捗。なんで自分はあの輪にいないのか、高校受験がナンボのものだと思うようになっていた。悔やんだのは、プレイステーション本体を持っていなかったことだ。本体を持っていれば、ソフトをこっそり買うくらい、バレない自信があったが、さすがに本体を買ってきたらバレてしまう。

誘惑されたところでプレイできないのに、とにかく受験後の『ファイナルファンタジーVII』に誘惑されて頭がいっぱいで勉強にならなかった。だから、第一志望の高校には受からなかった。母親が、一年間通った塾に電話で激怒していた。何のために高い金を払ったのかと、真っ赤な顔で怒鳴り散らしていた。それが原因だったのだろう、塾で理事長や部長らに呼び出され、囲まれて、やたらに励まされた。よくやった。凄く成績も伸びた。自信を持っていい。いや、いや、落ち込んでなんかいない。こちとら、『ファイナルファンタジーVII』が早くやりたいのだ。

私は長男で、母親にとっても子供の受験は初めてだ。塾には激怒していたが、私には何もお咎めがなかった。第一志望は落ちたが、第二志望には受かったので、お祝いをしたかったようだ。プレイステーション本体と、『ファイナルファンタジーVII』をプレゼントされた。

私は狂ったようにプレイした。もう、プレイ進捗で競える残った同級生たちも受験を終えて自由登校だ。だったら登校なんかしない。クラウドの運命には自分(の操作)が必要だ。クラウドの孤独と、挫折、どこか自分と重なっていた。興味ないね、ああ、興味ないね。『ファイナルファンタジーVII』以外、全く、興味ないね。また同じ学校だね、受かったら一緒に自転車で行こっか、と言っていたあの子は受かって、自分は落ちた。ああ、興味ないね。

来年春、『ファイナルファンタジーVII リメイク』が出る。なんでだろう、『ファイナルファンタジーVII リメイク』をプレイするまで、絶対に死にたくない。

食費入力のみ家計簿アプリ「食費簿」、自慰管理アプリ「アイナーノ」、どちらも御陰様で好調です。より良いアプリ開発に役立てます。