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Hasselblad instax SQ Back[000]

2019年1月。年末年始休暇を終えた僕の目に恐ろしいプロジェクトの公開記事が飛び込んできた。

ハッセルブラッドと富士フイルムのチェキを合体
個人プロジェクト「Hasselblad-Instax」が公開

AXIS Web magazine で公開されたこの記事は、Google Creative Labのハードウェアインタラクションデザイナー Isaac BlankensmithとWalden のEddie Cohenが週末の48時間を使ってHasselbladに富士フイルムインスタントカメラ「instax mini9」をマージするというプロジェクトの紹介だった。

公開されたプロジェクトページはこちら→ Hasselblad-Instax

中判カメラの王様Hasselblad

Hasselbladは中判フィルムカメラユーザーなら誰もが憧れる、中判カメラの頂点とも言うべきもので、特に500C/Mに代表される500Cシリーズは未だに現役使用しているプロカメラマンがいるほどだ。
とはいえフィルムカメラというものは現在、デジタルカメラやスマートフォンの普及、フィルムメーカーの倒産/フィルムの高騰、プロラボの減少など、様々な要因により、最早過去の遺物と化しており、現在でもこれらを使うユーザーは上記のプロフェッショナルを除いた場合、僕のようなオールドメディアに魅せられて泥沼にハマって抜け出せないでいる懐古主義のミレニアル世代か、デジタルに飽いて物珍しさで手を出したジェネレーションZ世代の人間だけだろう。

デジタルとフィルムの優位性についての言及は他の記事に譲るとしても、こういったオールドメディアを手放せないでいる人間は確かに存在し、その中にはただ頑なに新たなテクノロジーを否定するのではなく、なんとか現代と歩幅を合わせようと悪戦苦闘しているプレイヤーがおり、今日彼らによって様々なプロジェクトが公開されている。

Hasselnuts: Hasselblad Camera + iPhone DigitalBack Kit!
例えば上記は、同じくHasselbladにiPhoneを取り付けて撮影ができる簡易デジタルバックを実装するプロジェクトで、すでにKickstarterで資金調達を終えている

そんな中で僕は彼らの記事を見つけたのだ。なんと恐ろしい!

なにが恐ろしいかって、これは正しく僕がずっと行おうとしていた個人プロジェクトそのものだったのだ!(ーお察しの通りだが、僕はこのプロジェクトを完成どころかスタートもしていない)

Hasselbladを含むフィルムカメラはデジタルカメラと違いその場で撮影した写真が確認できるわけではないため、しばしば現像や露出確認の為に、剥離式インスタントフィルムを使って撮影することがある。

そのためにHasselbladではインスタントフィルム用のフィルムバックが販売されているのだが、これらの専用フィルムは現在とても高価なものとなっており、1枚撮影するのに700円弱くらいかかる。その割に印画紙に対して露光サイズがちぐはぐでとても出来が良いとは言えない。
そこで僕は富士フィルムが販売している比較的安価なインスタントフィルムを利用して、Hasselbladの素晴らしい描写をすぐに手にすることができるように専用のフィルムバックを制作することを決めたのだ!

。。。しかしそれは既に存在していた。

僕が取り組もうとしたその魅力的なプロジェクトは既に公開されており、たった今僕が挙げた問題点はもちろんのこと、その制作過程に至るまで彼らのプロジェクトサイトに細かく紹介されている。

恐ろしい!(素晴らしい!)悔しい!(最高だぜ!)

僕はすぐにこの記事をFacebookでシェアして自分の行動力の無さを呪い、彼らを称賛した。そして悩んだ。彼らが実現してくれた僕のプロジェクトは、このまま心の中にしまってしまうべきか。このプロダクトはまだ僕の手の中にあるわけでは無いが、このプロジェクトに最早新規性は無い。
...とても悩んだが、僕もPrototyping Engineerとして、Fabberとして今更引き下がるわけにはいかない。彼らの素晴らしいプロジェクトでまだ実現出来ていない、いくつかのことを僕が実現する余地は残っている。
(というか、やろうと思っていたことを先にやられて、意固地になっているときに、自分でオープンソースプロジェクトにするとか言い出してしまい、今更引っ込みがつかなくなっているのである)

Hasselblad instax SQ Back Project が始まった

このプロジェクトでまず僕が行うべきミッションは3つだ。

1. 3Dプリンターやレーザー加工機などの製作データと制作方法を公開し、誰もが作り、利用することができる状態にすること。
2. instax SQUAREを利用し、6×6判の性能を完全に活かせるようにすること。
3. Hasselblad-Instaxプロジェクトではまだ調整中という焦点部分をクリアすること。

どれも彼らがまだクリアしていない課題であり、Hasselbladユーザーに有益な機能だと思う。この他に、デザインにおけるいくつかのルールを設けてプロトタイピングしてゆく予定だ。

やるつもりもなかったnoteに記事を書いてまで宣言したこのプロジェクトに対して僕は本気だ。だからすべてのHasselbladユーザーは期待して待っていてくれ!

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