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earth music&ecology前社長のハラスメント問題とアートとについて考えたこと

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これはコンセプチュアルアートを代表する作家ダン・グラハムの 「Wood Grid Crossing Two-way Mirror」 という作品です。この作品は岡山県岡山市内にある岡山神社の中に設置されています。この作品を購入し、岡山神社に設置したのは石川文化振興財団でearth music&ecology前社長 石川康晴さんが理事長を務めています。


今回は、石川前社長のハラスメント問題とアート界の問題について考えたことを書いていきます。

まずいくつか前提の整理をしたいと思います。

以下は石川前社長のハラスメント問題に関する記事です。ハラスメント発覚から社長辞任に至った経緯はこちらを参照ください。




次に、石川前社長とアートとの関わり方についてです。

石川前社長はアートコレクターであり、地元岡山での文化的なパトロンで「岡山芸術交流」というコンセプチュアルな作品をベースにした芸術祭を2016年と2019年に開催していました。


またコレクション展を、2014年に東京のオペラシティアートギャラリーで、2019年には美術理論家のニコラ・ブリオー率いる文化政策「Montpellier Contemporain」の手掛ける公立現代美術館「オテル・デ・コレクション」でキュレーターに長谷川祐子氏を迎えて行なっています。


幸福はぼくを見つけてくれるかな? ─ 石川コレクション(岡山)からの10作家|東京オペラシティアートギャラリーwww.operacity.jp
こけら落としは「石川コレクション展」。ニコラ・ブリオー率いる現代美術の新エコシステム「MO.CO.」とは何か?この夏、南フランスのモンペリエで、美術理論家のニコラ・ブリオー率いる文化政策「Montpellier Contemporabijutsutecho.com


石川前社長のコレクションは特徴的で、現代美術の中でもより分かりづらい、視覚的な部分よりアイデアや理念に重心を置いた作家の作品を多くコレクションしていることで、それも日本でなかなか観ることの出来ないコンセプチュアルアートの先端の作品をコレクションしていることです。企画している岡山芸術交流もコンセプチュアルなアーティストをディレクターに起用し、方向性を明確に絞っていることもあり、アート界の中で評判のいい芸術祭という位置付けで、コレクションした作品は岡山芸術交流で直接多くの人が目にし、経験できるようにしていました。こうした成功者が地域に美術を持ち込み還元する文化は、大原美術、林原、ベネッセと脈々と引き継がれているもので、その新しい成功者として石川前社長がいました。



僕自身が岡山県出身であり、コンセプチュアルな実践を行うアーティストであり、文化が育つ環境をつくることもあった為、個人的に石川前社長の仕事に共感する部分が大きかったです。今回のハラスメント問題が発生したタイミングでたまたま実家に帰ることになり、ついでに岡山市内にある冒頭のダン・グレハムの作品を観ました。どうしようもない失望を感じながら。


選択肢として、文化の発展の為にこのハラスメント問題が沈静化するまで沈黙を続けるというものがあります。それはある意味でとても賢いやり方のように見えます。しかし、僕はそうすべきではないと考えています。なぜならばその選択肢をしたことで信用と信頼を失った人たちを知っているからです。守るべき信念は全てに適応されるべきです。そういった意味でもこのハラスメント問題をアートと関係のない問題と切る分けることは出来ません。


アート界の中でもハラスメント問題や暴力の問題があります。しかし、そういった問題は大きく取り上げられることなく現在進行形で続いています。かつての芸術家が「周囲の犠牲」によって素晴らしい作品を作ってきたという経緯があります。過去の芸術家のそういった行いに今の倫理を適用して断罪するようなことは望みません。しかし、今この時代に当時と同じことが許されるかと言われるとそこに同意することはできません。アートは、その時代の状況や環境によってその在り方を変化させてきました。であるならば、ハラスメントや暴力の問題がない形に適応すべきではないでしょうか?


僕はアート界に望むことは、アーティストをはじめとしたアート関係者が快適に活動出来ることです。










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