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【YURI ICHIMURAさんに聞く】正解のないクリエイター道をゼロから切り開いた話

カスタムオーダーのCustoMee(カスタミィ)に作品を展開いただいているクリエイターさんが、なぜクリエイターになったのか、今どんな活動をしていて、今後何を目指すのかを伺うシリーズ。

第2弾はYURI ICHIMURAさんのインタビューです。ICHIMURAさんは、ファッションブランド業界からクリエイターに転身されました。実績をゼロからどのように作り上げられたのか、オリジナルキャラクターのシラタマが生まれた背景、今後目指すことなどをナカシマがお伺いしました。



1. クリエイターになるまで

ーークリエイターになるまでの経緯について教えてください。もともとグラフィックデザインを勉強されていたのですよね?

大学で4年間グラフィックデザインを勉強してました。
もともと絵を描くことは好きで、でも高校の時に美大に行くことは考えていなかったのですが、友人と一緒にオープンキャンパスに行ったら一気に入りたくなって、予備校に通って美大を目指すことになりました。
大学ではグラフィックデザイン学科で、油絵や日本画などの絵画ではなくてポスターとかイラストもそうですが、立体ではない画面とか紙媒体のデザインの勉強が多かったです。

ーーそうすると大学を出た後にデザインのお仕事に就かれたんですか?

実は最初のお仕事はデザイン系ではないんです。
元々おしゃれが好きだったので、そういう勉強もしてみたいと思い、大学3年の時に土日だけダブルスクールをさせてもらって、ファッション系のキャリアカレッジに1年間通っていました。そこでファッションも奥が深くて楽しいと思い、あるファッションブランドに新卒入社しました。
外資系の大きなブランドで、本社でお仕事をする前にまず最初は店舗スタッフとして販売をしていました。2015~16年ごろだったので、インバウンドで海外のお客様がとても多かったです。

ーー最初はファッション業界に行かれたんですね!そこからクリエイターになるのはどのような経緯だったのですか?

色々な理由があります。お客様と接することは楽しくて仕事としても華やかな部分もあったんですが、外資系で常に競争している厳しい世界でもあり、元々勉強していたデザインや絵を描くことから離れちゃったなという思いや、これをこのままずっと続けていくのかな?もう一度ゼロから考えてみたいなと思いました。
そこでお休み期間を設けて、ここからどうしようかなと思っているときに絵を描き始めたんです。一回離れたこともあって、やっぱり描くのは楽しくて。できればこうやって自分のペースで絵を描く仕事がしたいと思いました。

2. 実績を作る

ーーなるほど、そこからクリエイターに転身されるんですね。とはいえデザインのお仕事をゼロから始めるのは大変ですよね。最初はどのようにスタートされたんですか?

Instagramに投稿したり、webサイトを開設したりしていました。
でもそれだけで無名の人に誰かがいきなり仕事を振ってくれるという奇跡は起きないので、自分で売り込まないと仕事もらえないなと思ってポートフォリオを作りました。と言っても、デザインの仕事をやっていたわけでもないので、自分が描いた絵と経歴を家のプリンターで印刷して小さい冊子をたくさん作って、出版社やデザイン会社にメールや電話で連絡を取って、送っていいですか?って聞いてましたね。


ーーすごい!そこで売り込みをしたんですね!正面突破でまずお問い合わせをして、そこは断られないんですか?

そうですね、送ってもいいですか?と聞いてダメですという回答はなかったです。送りたいんだったらどうぞみたいな感じですかね(笑)
直接お伺いして見てもらってもいいですか?って聞くようにしてたんですけど、それに「いいですよ」と言ってくれるところは10分の1ぐらいの確率で、ほとんどのところが来なくていいので送ってくださいという反応でした。
それでも何件かは直接お伺いしてお話できたんですが、私も売り込み慣れていなかったので、ただ渡して「どうですか?」みたいな、どうやって売り込んだらいいのか分からない感じでしたね。
でもその中から小さい出版社さんが、絵を見て、フリーペーパーの表紙をこれだけしかお金出せないけどやってみますか?と言ってくれて、それが初めての仕事になりました。
売り込みでほとんどは仕事には繋がらないんですけど、それだけ数打って実績ができて、スタートラインに立ったという感じでした。

ーーちなみにどれくらいの数の売り込みをかけて最初のお仕事が取れたんですか?

うーん、100はいってないですけど、70とか。

ーーむしろよく70件の売り込み先を見つけましたね!

そうですね。Wikipediaで調べて出版社って出てきたところに上から連絡しました(笑)

ーー営業力ありますね!最初のファッション業界での販売の仕事が活きましたか?

確かに、それは活きたかもしれないです。
ファッションブランドで販売してた時に、50万とか100万円のバッグを売らなきゃいけないので、初見で買ってくれるとかではなかったんです。通ってもらって、商品の良さをプレゼンして興味を持ってもらうという接客だったので、その部分では売り込みと似ている部分もあるかもしれないです。

ーーそこがICHIMURAさんの強みですね。最初のフリーペーパーのお仕事ができて、そこからどのような展開になっていきましたか?

実績を見て興味を持ってくださることもありましたし、70件くらい売り込んだ先の中から、進行中の案件でデザインが間に合わないものがあるから、テイストを合わせて描いてほしいというような依頼もありました。
駆け出しの人だからこそ頼めるみたいな、そういう仕事とかももらったりして。絶対に断らない何でもやりますというスタンスで、仕事を増やせばポートフォリオに実績として書けるじゃないですか、そうすると、ちゃんと仕事をしている人、納期を守れる人としての信頼も生まれますよね。
とはいえ、全然仕事が来ないので、基本はアルバイトをしながら過ごしてました。実家で暮らしてたからこそ出来たので、本当に親に感謝ですね。

3. 「何気ないねずみ / シラタマ」はどうやって生まれた?

ーーそこからシラタマちゃんが生まれますよね。企業から依頼されるお仕事とは別にオリジナルキャラクターとして生まれるというきっかけは何だったのでしょうか?

依頼を受けて描くことで十分な収入があったら、もしかしたら生まれてなかったかもしれないです。
仕事をもらえてない時に、暇だし自分で生み出すこともしていきたいなと思って、イラストを使ったグッズを作って販売もやってみたいなと思ったんですね。お金のためもあるんですけど、楽しそうと思って、やってみることにしました。
最初は純喫茶のイラストとか動物のイラストとか、普通のイラストを使ってキーホルダーにしたりトートバッグにしたりして。少量から仕入れてオンラインで売るみたいなことを始めました。
すごく数が売れるわけではないんですが、ちょっとずつ売れるようになって、作るってすごく楽しいなぁと思ってやってました。
そしたら、イラストのお仕事の収入と、グッズ販売の収入が同じくらいになってきたので、もっとグッズを作って販売することも強化していきたいと思ったんですね。そこで自分のオリジナルキャラクターがいたら展開しやすいなと思って作りました。

なので、ずっと頭の中にその子がいてとか、もともとネズミが好きだったという感じではなくて、まっさらなところから考え始めたんです。
それが2019年で、2020年がネズミ年だったのでネズミいいかもと思ったのと、意外にネズミのキャラクターって少なくて、少ないけどミッキーとかピカチュウってめちゃくちゃ売れっ子じゃないですか。あとは、自分自身を投影するというよりは、こんな生き物がいたら可愛いなと思える理想を作りたいと思ってました。
シラタマは「何気ないねずみ / シラタマ」というキャラクターなんですけど、私自身にちょっと欠けてる部分だと思っているんです。
私はこだわりとか考えが強くてハッキリさせてしまいがちなんですけど、そんな部分をまろやかに動かせる人というか、曖昧さを活かせて心地よさを作れる人に憧れてて、そういうものを作りたいと思っていました。なので、顔も否定でも肯定でもない、楽しんでいるか悲しんでいるかも分からないけど、可愛いと思える感じにしました。

ーー実は戦略的に作られたキャラクターなんですね、シラタマちゃんが生まれたのは2019年ですか?

実家の年賀状を毎年私が作っているんですけど、2020年の年賀状デビューです。
まだその時は名前もないんですけど、フォルムは体がちょっと柔らかくなったくらいでほぼ変わらないです。

ーーじゃあ2020年に年賀状をもらった人はデビュー作を持っているということですね!2020年からシラタマグッズが展開されていったんですか?

そうですね。Instagramでまず紹介をしました。
やっぱりキャラクターってすごいなと思うんですけど、明確なモチーフなので、グッズ展開もしやすくなって、Tシャツとかステッカーにしてグッズ化しました。

4. 今後目指すところ

ーー今後どういう活動をしていきたいですか?

ご依頼でイラストを描くこと、キャラクターグッズを販売したりロイヤリティをいただくということ、どちらも楽しくやっていきたいと思ってます。
原田治さんという方がいらっしゃるんですけど、昔のミスドのイラストを描かれていた方です。オサムグッズといわれるグッズ販売もされつつ、イラストやロゴのお仕事もコミッションワークとしてずっとやってらっしゃったんです。そういう風になれたらなと思います。
自分の絵があって好きなことを前面に出し自由に描くことと、お仕事として絵を描くことの両方をされているという点で憧れです。そんな活動を私もやっていきたいと考えています。


いかがでしたでしょうか?
クリエイターさんはそれぞれのスタイルがあって、逆にこうすれば上手くいくという教科書がない中で、これからクリエイターになる方にも参考になるお話だったのではないでしょうか?
実現したいことに向けて進んでいく力は、業界を問わずとても大事な要素だと思います。私を含め、新しいことに取り組んでいる人にパワーをいただけるお話でした。(ナカシマ)

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